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2010年1月12日 (火)

シグマ DP1 その1

Dscn8217  昨年末、2009年を括るカメラを探しにいつもは行かない隣接する市にあるキタムラへ行った。ここはジャンク籠は無いのだが、1ヶ月ほど前に6万円台のニコンS+50mmが置いてあって、勿論、買うなどと言う行為は考えられないのだが、目に良い物を与えようと思ったのだ。しかし、件のニコンSは既に無かった。三河にも物好きがいるものである。

 それで、中古コーナーとアウトレットコーナーを冷やかして帰ろうと思ったのだが、そこで見つけたのがアウトレット新品のシグマのDP1である。近年のデジカメには詳しくない拙僧だが、シグマ独自のFOVEON受光素子を搭載し、単焦点のライカ判換算の28mmのレンズを搭載した羊の皮を被った狼だということは知っていた。価格はちょっと言えないのだが普通にミノパンが買えた頃のミノックスBくらいとしておこう。そういった価格帯は拙僧の手に負えないのでその場はスルーした。

 結局、2009年は「ジャンクカメラx個入り!」等と言う物件を福袋として2件落札して終いにしたが件のDP1が気になる。実はお金はあったのだ。それはコンタックスG1かローライ35でも拾うかいと、しこしこ貯めていた虎の子のへそくりである。これが丁度キタムラで並んでいたDP1と同じくらいの金額であった。そう考えると急に興味は勃興した。FOVEONと言えばカメラ趣味の端くれとしては気になる物である。しかし、シグママウントの一眼レフボディとレンズを揃えるのは少々気が重い。そこでシグマのなり入りの28mm相当レンズを搭載したDP1を吟味するのは中々よいアイデアだと思ったのである。これは一見安物のクライスラーに5Lのパワーユニットを積んだマッスルカーなのである。但し、拙僧が購入するには安くなければいけない。これは無意味と思われるが、割安という実感が湧かないと購入に至れないのが貧乏人の性なのだ。インターネットで調べるとDP1は発売当初9万円台だったそうだ。キタムラに転がっていたのはその3分の1以下である。この主の特殊カメラは中古で欲しくなってもそうそう手に入る物ではあるまい。そこでもう参ってしまい翌年早々に買い上げた。拙僧にとっては人生3番目の新品カメラの購入である。

Sdim0009  安いのは新しいモデルが出て、旧モデルの欠点が大幅に改善されたとかそういう理由があるのかと思ったがシグマの公式HPでは新機種は掲示されていない(だが、DP1sというモデルが有るようだ)。DP2というカメラが紹介されていたが、これは基本的にはDP1のレンズをライカ判換算で28mmF4から41mmF2.8に更新した物のようだ。勿論、実際には感度はDP1の最速ISO800からISO1600に性能アップしているし、その他の使い勝手も向上しているのだろうが、重要なポイントである受光素子は同じ物のようだ。拙僧個人としてはDP2の諸元はローライ35に似たコンセプトでより興味深かったが、流石にアウトレットの価格帯では買えないだろうから諦めることは出来た。それに28mmと言うのはそれはそれでポテンシャルはある。

 外装はシンプルなスクエアボックスに円筒形の鏡筒の組み合わせでそっけない物だ。しかし、このようなプロトタイプめいたルックスは本カメラのような実験的要素の強いカメラには向いているだろう。オーナーもそれを求めているはずだ。近年のコンパクトカメラとしては少々大柄だが、それは受光素子も大きいのだという実感を伴って心地よいものである。ストラップが両肩吊りなのも、撮影が戦闘的に感じられてよいものだ。

 まだ、試験運用の段階なので詳細な評価は控えたいが、第一印象で言えばハイパワーな受光素子にプアーなボディである。2008年に発売されたカメラとは思えないほどクラシカルな撮影スタイルを強いられる。AFは9点のフォーカスポイントを持つが、その選択は自動ではなく階層メニューを掘り起こさなければならない。AFユニットもプアで遅いのは構わないのだが、動物などを撮影しようとするとレリーズを半押しすると液晶ビュワーの画像が静止し、フォーカシングの後に切り替わると被写体が動いてあさっての場所にいたりする。事実上、旧世紀のデジカメのように動きものは撮影できないだろう。そのためにMFリングが使いやすい位置にあるが、並のデジカメのように液晶ビュワーでフォーカシングをするのは困難である。パンフォーカスを期待して目測という手も有るが、細部を拡大して鑑賞するデジカメ+PCの使い方からすると、満足できるのかは使い込むまで分からない。

Dscn8215  何れにしろ、万人に扱えるカメラではない。そういうのは望むところだし期待するところだ。

 一眼レフでもRAWで撮影しない拙僧の新たなるスタイルを見出せるかもしれない。

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コメント

こんにちは。
新年の自分へのお年玉ですね。(^^ゞ

>一眼レフでもRAWで撮影しない拙僧
自分もデジイチをコンデジ感覚で使っているので、RAWで撮ったことないです。
非力なPCでRAWを現像する気にならないし、大きなファイル群がハードディスクを占領するのも嫌だし。

投稿: mi84ta | 2010年1月12日 (火) 14時41分

どもども、mi84ta殿。

いやはや、大きなお年玉になりました。
過ぎた買い物なのではと今でも不安になるのですが。

我が家も非力なマシンですからねえ。8GBのSDHCだと500枚以上撮影できるので気にならないのですが、知らぬ間にハードディスクを占領するでしょう。
拙僧の目だとRAWの画像もJPEG化した画像も大した違いとは見えません。一部分を拡大したら違うのかもしれないですが、そんな鑑賞の仕方はしないですからねえ。

投稿: Rikkie | 2010年1月12日 (火) 17時22分

あ、いいですなあ!うらやましいですなあ!
ぼくもDPシリーズはずっと気になってました。
DP1いっちゃいましたかあ。
じゃあ僕もDP2を.....どこかにアウトレットはないものか(泣

投稿: はし | 2010年1月12日 (火) 19時43分

ぐっはぁ!DP1ですかぁぁぁ!
あやうく腰を抜かすところでしたわ。

このデジカメだけはカメラ雑誌の記事を
くまなく読ませてもらいましたねぇ。

質感がいまいちとか言われたけど
個人的にはライカI型に通じるものが
感じられて大好きなんですわ。

バザールに出ないかなぁ。

投稿: 大佐 | 2010年1月12日 (火) 21時16分

どもども、はし殿。

拙僧もローライ35やコンタックスG1のために貯蓄したへそくりですから、どちらかと言えばライカ判換算41mmF2.8の方が一層興味深いです。
しかし、シグマの広角も割合いい思いをさせた頂きましたから、アウトレット価格となればやぶさかでないです。

どもども、大佐殿。

DPシリーズはそのストイックなデザインがクラシックカメラを彷彿する物があります。拙僧もクラデジカメをテーマとしたコンテンツを立ち上げていましたから、ユニークでパワフルな受光素子としてFOVEONは最新デイジカメに興味が薄い拙僧でも思いがありました。
とは言え、シグマSAマウントのシステムを組む気にはなれないので、満更でもない選択肢だと思います。
ただ、ボディパワーは新世紀そこそこの完成度ですね。ゆっくり付き合いたいと思います。

投稿: Rikkie | 2010年1月12日 (火) 23時17分

おお!おめでとうございます!!
よござんすね、この独自で孤高の「画質が良い」撮像素子など、気になる存在であります。

ぜひ作例などを拝見したいです。

クラデジ・・・という言葉があるのですね。
ちょっとそそられる存在ですが、そこまで取り組む意欲は無いのですが、やはりほしくて買えなかった存在は、2束3文だと対手が伸びます。
2年前SONYのF55V(2000年・Zeiss DISTAGON付き)を買ってしまいました。

投稿: 横須賀与太郎 | 2010年1月14日 (木) 00時01分

どもども、与太郎殿。

普段使いが200~300万画素のクラシックデジカメなので一本気合の入ったデジカメが欲しいと思っていました。
コンパクトデジカメとしては最強の一つだと思います。持っていれば安心して安デジカメを使えますね。撮影結果は何れ。

クラデジカメ沼はお進めできないです(^^;。
仰るように欲しかったカメラが二束三文で転がっていると手が伸びるんですよね。それがニコン辺りだと更に。
F55Vは2台ほど転がっているはずです。ディスタゴンと聞くと、その実は兎も角騙されてしまいます。最近でもF77を拾いました。400万画素以上なら拾った値段ほどには捌けますよ。

投稿: Rikkie | 2010年1月14日 (木) 07時59分

>持っていれば安心して安デジカメを使えますね。

これは核心を突いていますね。ちゃんと写る保険のカメラ、それがあるから酔狂なカメラで遊べるという。。。沼だなぁ

出来れば今のものと違ったお作法や儀式があったほうが面白い、そしてそこそこ良く写ってくれる、、、

沼だなぁ。。。

投稿: ナンマイダー | 2010年1月14日 (木) 23時48分

どもども、ナンマイダー殿

今となっては安カメラですが、当時としては本気で考えたカメラですから、その背景や思想は興味深いものです。これはデジカメもフィルムカメラも同じですが、ナンマイダー殿ならご存知ですね(^^。

ソビエトカメラの流行なども、そのような思想の違いが受けたのではないでしょうか?

最近では壊れたカメラを修理するという健全で無いアプローチでカメラに接しています。これも、ちゃんと写るカメラがあればこそ、遊びができると言うものです。

投稿: Rikkie | 2010年1月15日 (金) 08時04分

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