ロモフィッシュアイ
最近のネットオークションではヤシカやオリンパスのコンパクトカメラに「ロモ風オモカメ」などとタイトルを付けて出品する輩は少なくなった。それでも、今や本流から外れたフィルムやフィルムカメラを一定以上のパーセンテージでロモグラフィな方々が支えているようだ。実際、デジカメ世代のカメラ女子がロモやホルガでフィルム写真に興味を持ち、オリンパスやニコンのフィルム一眼レフにたどり着くケースは少なくない。近所のキタムラに置いてある唯一の中判フィルムがコダックポートラなのだが、ホルガな方々向けに用意されているのかとも思う。
ロモと言っても既に本家のレニングラード光学器械連合(LOMO)はコンシューマ向けカメラの製造は行っていないようだ。ロモファミリーの一部のカメラは中国の鳳凰光学集団有限公社で行っているとされている。鳳凰もカメラの生産を継続している形跡はあるのだが、主軸は実験計測機器や光学研磨機のような小ロットで高額な研究機関や産業ユースに向いているようだ。ちなみにオモカメの一方の雄であるホルガは広州市宇宙光電器材中心という立派な名前の企業体が生産している。一般的にホルガは1980年代に香港で生産がはじめられたとされるが、広州市宇宙光電器材中心は香港宇宙電子廠有限公社の出資によって1995年に設立されたとあるので定説に合う。鳳凰は安普請なカメラも生産しているが、ヤシコンやKマウントのそれなりの出来の一眼レフを生産できるメーカーであり、本カメラのチープさ加減からするとホルガの隣で組み立てられているのが相応しい気がする。
ロモフィッシュアイは特異な魚眼レンズを最低限の機能とクオリティで構成したボディに搭載したものである。厳密には魚眼レンズの定義から外れるらしいのだが、我々は雲量を測定する訳ではないので問題にはならないだろう。レンズの開放値はF8でシャッター速度は1/100の単速だとされるが、晴天下でもISO400のネガを使用した方がいいと思う。これで「あなただけの不思議な視点」が撮れる。そういった本カメラで撮影したロモグラフィーの小冊子が付属するが、これこそロモグラフィーへのパスポートなのだ。
10年近く前にカナダに移住していた時にも4色のカラーフィルターに切り替わるフラッシュ付きの安カメラやレンズが4つついた安カメラを常時携帯するデザイナー志望の台湾女子というのはいた。大陸のネットショップを眺めてもロモ&ホルガやロモブランドのフィルムは花咲いている。無論、価格帯は日本と変わらないか高いくらいだ。こういうガーリーフォトやフォトポエム志向は東アジアに顕著な気がする。それは今どき家族が写っているわけでもないフィルム写真のDPEに30ドル出せる方は多くないだろうという意味を含めてである。
我々はついロモグラフィーな方々を軽く見てしまうのだが、フィルムを支える良き隣人として共存していきたいものである。無論、拙僧だってスーパーのフリーマーケットで200円で転がっていなければ拾わないが。
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コメント
おッ、んでは¥200だったのでしょうか、、、だったらいいですね。
この手のカメラは高くて買えません。
マミヤの中判カメラなんかやバケペンを買えてしまったりしますので。。。
あ、でもダイアナの更に普及版のものにベルビアいれました。
これがまたいいんですよ。
ロモグラフィーの白ッ茶けた写真で無く、ちょうど適度な光線とリバーサルの深い発色の出る条件を計算して撮ると素晴らしいのになぁ。どうもロモグラフィーの人たちの写真は好きになれないのです・・・
投稿: 横須賀与太郎 | 2011年4月19日 (火) 01時20分
>鯉がモールドされているのだが、魚の目というジョーク
なるほど!
気づきませんでした!
ドアの覗き窓から覗いた光景みたいですね。
投稿: nakky | 2011年4月19日 (火) 12時41分
どもども、与太郎殿。
スーパーのフリーマーケットでミセス向けの古着や韓国のりと一緒に並んで200円でしたから店主は「写るんです」程度の価値だと判断したのでしょう。その判断が間違いかというとそうでもないですが。
流石の拙僧もこのカメラにポジを詰めるのは躊躇します。ペンEEあたりにはよく詰めて小さなコマを眺めるのが好きなのですが。
ダイアナと瓜二つのカメラでデボネアというのを持っています。まだ稼働していませんが、これも落札価格で1000円でした。
ブラックバードフライというライカ判の二眼レフ風(実は目測)カメラがあるのですが、信じられないほど安普請なボディが1.4万円くらいするんですよ。若い連中はそういうのに躊躇が無いですね。あっしのリコーフレックスが1000円だと言ったら、流石に複雑な顔をしていましたが。
投稿: Rikkie | 2011年4月19日 (火) 17時55分
どもども、nakky殿。
そもそも、このカメラはドアスコープのレンズを安ボディに付けてみようという発想から進展したのではと想像しています。
ロモフィッシュアイ2はカニがモールドされているそうでしょ。
投稿: Rikkie | 2011年4月19日 (火) 17時57分
Rikkie様。
私も持ってました、フィッシュアイ。すぐに飽きて、オークションに流しましたが。
相互リンクよろしくお願いいたします。
投稿: なお | 2011年4月19日 (火) 19時30分
おお、対角魚眼だと思ってたら円周っぽい感じなんですね。鯉のレリーフは鯉じゃないのもあった記憶があるんです。
投稿: はし | 2011年4月19日 (火) 19時57分
気になって検索かけたらやっぱりありました、
蟹のレリーフバージョンが。
投稿: はし | 2011年4月19日 (火) 20時01分
どもども、なお殿。
おお、やはりなお殿も手放されましたか。一瞬は面白いんですが、それだけですよね。
拙僧の個体もすでにドナドナです。
相互リンク、よろしくお願いします。
投稿: Rikkie | 2011年4月20日 (水) 08時21分
どもども、はし殿。
厳密にはこういうのは魚眼レンズとは言わないんでしょうね。
このレンズのクローズアップはなかなか興味深いので、はし殿ならネコさんのアップなどの魅力的な写真を御撮りになるのではと思います。
5000円も出して買うカメラではありませんが。
投稿: Rikkie | 2011年4月20日 (水) 08時23分
ジャンクかごからの救出を常とする者にはトイカメラって高いですよね。
フィルム需要の一端を担っているのでしょうから前向きに受け取りたいのですが、フィルムの実力を知るにはやはり力不足ではないでしょうか。
世間の作例もノスタルジックな雰囲気をだしているものが多くて、フィルムはまだまだ現役だ!と言いたくなります。
先日近所のホームセンターでフジや京セラ、ミノルタのフィルムコンパクト数種類の新品を980円で売っているのを発見、そちらの方がドキドキしてしまいます。
投稿: ずいろく | 2011年4月20日 (水) 09時14分
これ、欲しかったんですよ〜。
でも、高くて買えなかったです(笑)
200円なら良い買い物になりましたね。
投稿: ロック | 2011年4月20日 (水) 09時34分
どもども、ずいろく殿。
あっしも面倒なので「フィルムは写らないのが魅力です」なんて口走ることがあるのですが、本音を言うとデジの高コントラスト・シャープネス命みたいな画一的な価値観で比べてほしくないと言いたいですよね。
だれでも不思議な写真が撮れるカメラなら個性なんて表現できないのですが、何割かの連中はオリンパスOMシリーズとかナチュラ方面に覚醒なさるようです。それはそれであっしには手の届かないISO1600のカラーネガを水のように使っていて羨ましいかぎりです。
あっしの偵察空域ではプラフィルムコンパクトカメラは10円ですね。こないだは美品のオートボーイN130が電池付きで10円だったので哀れで買いました。38~130mmなんていう立派なレンズが付いています。
それで使うかというと使うのはメイハーフだったりするのですが。
投稿: Rikkie | 2011年4月21日 (木) 00時27分
どもども、ロック殿。
興味はありましたが、すぐに飽きるのも分かっていましたから5000円なんて出せないですよねえ。あっしの外観は錆びだらけでも素晴らしい写りのレチナIaだって3000円なのに。
既に良い価格で処分できました(^^;。
投稿: Rikkie | 2011年4月21日 (木) 00時29分