昨年の秋ごろであったか、Letsgo殿がブログで「ろりかめ」への傾倒を報告なさっていた。つまり、110判フィルムを使用する、可愛いカメラという意味なのだが、拙僧などはヤマシイ人間なので「ろり」とか「ろりーた」にはナーバスに反応してしまう。そういう単語がコンテンツに含まれると、検索エンジンが弾いてしまうとも聞くし、乱用は禁物である。
110判フィルムは1972年にコダックが開発した規格である。2軸式(正確にはスプールは巻き上げ側のみ)のカートリッジフィルムであり、いわゆるダブルマガジンを組わせたものである。撮影枚数を印刷した裏紙がフィルムを巻いており、カメラ側のフィルムカウンターが必要が無く、簡素で廉価なカメラでの運用を可能にした。基本的なポリシーは1960年代に登場した126判フィルムを踏襲している。つまり失敗の無いフィルムの装填である。また、撮影途中で誤って裏蓋を開けても、撮影済のフィルムはある程度無事を保つ。ライカ判フィルムの装填は、我々が想像する以上にハードルが高いらしく、後ののディスクフィルムやAPSなども同様に、装填時の容易を旗印に開発している。日本だと、キヤノンのクイックローディングやフジフィルムのドロップイン・ローディングなど、カメラ側の工夫で装填ミスを解決しようとするのだが、自分で規格を作るのが好きなアメリカ人は安易に新しい規格を乱出したのだ。35mm幅のフィルムを使用する126判フィルムに対し、110判フィルムは16mm幅を採用した。なので、前者をインスタマチックと称し、後者をポケットインスタマチック、或いはポケットフィルムと称する。面積で言ったら1/4の小さなフォーマットである。一説によると、画期的な微粒子フィルムのコダクローム(?)を使用して、サービス判(日本のL判ではなく、北米で一般的なポストサイズだろう)プリントで満足な鑑賞に堪えるサイズとして決めたサイズとも言われている。拙僧は細々ながらも根強い人気があった16mmフィルムをガチでつぶしにかけてぶつけたと思うのだが。実際、110判フィルムの登場で16mmフィルムは絶える。
110判フィルムも大成したとは言い難い。初期には高級カメラも登場したが、その展開は僅かで、大抵の場合は最低限の撮影機能を持った廉価な簡素カメラが多く、ライカ判のカメラがコンパクトになり、自動化が急速に進むとニーズも先細りになった。110判フィルムが21世紀を越えることが出来たのはシングル8と同様、メーカーの良心によるところが多い。しかし、110判フィルムもとうとう終了となった。現在も現像サービスは継続しているが、フィルムはデットストックを確保したショップが細々と提供している。かわうそ商店殿などは良心的な価格で、もうしばらくは110判カメラを楽しむことが出来そうだ。もっとも、拙僧はモノクロが趣味なので自作という勝ち目の薄い戦闘に突入することになった。詳しくはコンテンツをご覧いただきたい。
もっとも、拙僧は面倒くさがりなので110判フィルムの自作などと言うのは老後の手前ぐらいに先のばすつもりであった。その間に期限がすこぶる過ぎたフィルムを安価に手に入れる機会があればよいと思っていたのだ。カラーネガを同時プリントをするような金のかかる戦闘は不可能である。ところが、その「ろりかめ」の中でも、恋愛の度合いが深い物件を確保したことから、後戻りが出来なくなる。なんといってもローライのテッサーなのだ。このような宝石が落札価格300円なのだから、フィルム文化の衰退も寂しい物である。
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