フォクトレンダー ベッサR2
拙僧が本格的に写真にのめり込み始めた頃が、丁度ベッサRの登場と重なっている。八王子のヨドバシカメラのカメラコーナーの奥にベッサシリーズのショウウィンドウがあったと記憶しているな。溶けかけたバターのようなAF一眼レフに比べて、そのスタイリングは痺れる程、精悍でカッコ良かった。しかも、安い。いや、おいそれと拙僧が買える価格ではなかったがニコンF80とかに比べれば安かった。何故、異彩を放っていたかは少し後に分かった。これは一眼レフカメラではないのだ。当時、既に距離計を搭載したベッサRも登場していたがベースのベッサLは目測専用機だった。レンズも15mmと25mmは距離計に連動しないから目測で使わなければならなかったのだ。これはピッカリコニカで折角のデート写真をパーにしてピンボケにトラウマを抱えていた拙僧にとっては「ないっすね」って感じだったのだ。
ところが、当時ライカブームの熟成期にあったのだが、一眼レフカメラだとミラーボックスの干渉によりレンズ設計に制限があると聞く。要するに広角レンズだと距離計機が有利だというのだ。拙僧もモノクロプリントを300枚ほど焼いた頃には確かにレンズによる描写の違いはあると気付いていたから関心はあった。しかし、やっぱりカメラのパーフェクトは一眼レフカメラだと思っていたから10万円近くも払って距離計機とレンズを手に入れることは無かった。しかし、だんだん、広角レンズの被写界深度を使ってパンフォーカスで撮影するようになるとピンボケの呪縛から逃れられるようになった。それで、キヤノン7とユピチェリ12(ジュピター)を買うのだが、これはカナダで盗まれてしまう。
ところで、ライカブームの際に距離計連動機がスナップに向くのはレフレクスミラーによるノイズが無いので静かだと言われていた。これは、ベッサRシリーズにも言われていたことだった。拙僧もそう思っていたのだが、実際に使ってみると全くの嘘である。本カメラのシャッター音はかなり甲高く、キャンデットフォトでも、まず被写体に気付かれてしまう。浅草寺の喧騒でも振り返られるのだから相当なものだ。なんでも、コシナとしてはレンズ交換時の露光漏れ防止のためにユニットを複雑にしたらしいのだが、ちょっとがっかりだな。それ以外はよくできているので惜しいカメラである。
コンテンツもご覧頂きたい。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
私も、カメラをかじりだしてすぐに、ベッサLが出たのを覚えています。
その2〜3年後に25mmの付いたベッサLを買いました。本当はレンズだけ欲しかったのですが、委託品でボディーも一緒じゃないと、ということでした。
いざ使ってみると、Rikkieさんの仰る通り、甲高いシャッター音に閉口したものです。
投稿: なお | 2015年2月 7日 (土) 20時18分
どもども、なお殿。
25mmはへリアーのでしょうか?
あのレンズはあっしも欲しいですね。
ヤシコンのディスタゴン25mmは最早届かないと諦めているのですが、コシナの25mmなら頑張ればいつかはと思っています。
ベッサLのようなコンセプトなら静粛性は期待したいところです。コシナのポリシーも分かるのですが、惜しいですね。
投稿: Rikkie | 2015年2月 7日 (土) 23時07分
おぉ!R2!しかもビット付き!現役時代欲しかったカメラでした。
シャッターは多分コパルスクエアタイプでしょうから金属音は避けられないでしょうね。音を抑えるにはF4並のコストが掛かってしまいますしね。
横走り布幕にして幕速を落とすのが一番なんですが、横走りはユニット化できないからこれも実現は難しい。
車でも高級車ほど静かですから、静音化にはコストが掛かるんでしょうね。さもなきゃ出来ないことを逆手に取ったフェラーリみたいに「爆音」を売りにするか。
投稿: 大佐 | 2015年2月 8日 (日) 10時59分
どもども、大佐殿。
音さえ静かならイイカメラなんですよねえ。
コパルスクエアでも一眼レフならミラーがある程度遮光してくれるけど、距離計機だと常時露出しているから、何かしらのキャッピングをしていて、その機構が音を立てると聞いたことがあるんですよね。
キヤノンPもイイんですが、これもそれなりにクタビレタ個体なので、ベッサR2の稼働率を上げたいところです。
投稿: Rikkie | 2015年2月 8日 (日) 13時45分
最近、距離計連動機用のレンズ2本に手を出してしまいました
確実に病魔に蝕まれている今日この頃です(汗)
投稿: M | 2015年2月 8日 (日) 19時57分
どもども、M殿。
おお、それは楽しみですねえ。
あっしも25~28mm級のレンズが欲しいものです。
当面機材への投資は自粛なのですが・・・。
投稿: Rikkie | 2015年2月 9日 (月) 04時32分