キヤノン T-80
拙僧がT80と聞くと思い出すのはソビエト時代の主力戦車である。いまやソビエト連邦という国があったことを説明するのに少々の時間が必要になってしまったが。そもそも、ソビエトの主力戦車はT-62だとされていた。これはT-55の延長上にある、割と保守的なデザインの戦車であったが、半滑空砲の115mmを主砲とするなど、斬新的なアイデアも投入していた。しかし、ソビエトは更に実験的な試みを行っていたのである。1980年代になって分かってきたのだが、ソビエトのシリアス主力戦車になるはずだったのがT-64だった。これは自動装填装置(コロジーナシステム)の搭載で3人乗りを実現した戦車で、主砲はロングバレルの125mmの打撃力を誇り、主砲からは対ヘリ攻撃も意識した対戦車ミサイルを発射が可能。更にリアクティブアーマーを装着していた。パワーソースはイギリスのチーフテンを模した水平対向エンジンだった。ソビエト戦車のパワーソースは、基本的には第二次世界大戦のT-34の発展型だったから、これは画期的なことだった。しかし、技術的に当時のソビエトには荷が重すぎたらしく、信頼性に大いに問題があり、基本的には失敗作とされている。
そのT-64を改良したのがT-80である。色々と改修したのだが、大きな違いはパワーソースをガスタービンにしてパワーアップを目指したのだ。ソビエトの機甲車両は伝統的にアンダーパワーだったから、それを粉飾したかったのだろう。戦車にガスタービンのパワーソースを搭載するのはアメリカ合衆国のM1が先行しており、多分に意識していたと思われる。しかし、やはりソビエトや崩壊後のロシアにはガスタービンの運用は重荷だったようだ。T-80のパワーソースは従来型のディーゼルエンジンに換装し、後裔機というか当面の主力補助戦車であるT-90もディーゼルエンジンを採用している。これらは現役で比較的装備のよい師団に配備され、ウクライナ情勢のTVニュースでも散見できる。
それでカメラのT80はどうかというと、やっぱり運用に無理がある精度のカメラである。これはキヤノンの技術が追いつかなかったというよりは、そもそものコンセプトが緩かったのだろう。
当時、新品でキヤノンに期待して本カメラを買った方には気の毒だが、現在の視点ではプロトタイプがそのまま市販された感のあるキュートなカメラである。無論、AFはあてにならないが。
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コメント
まいどっす Rikkie師匠。
自分が戦車兵だったのは85年の事なんですが、
じつは…まぁ~ったく何処何処の戦車がどうの…とか
兵装がどうの…とか知らないんですよね^^;)。
一応、仮想敵国(隊内通称 "○助"・または"○カ" ^^)は
T-72(相当の戦車で攻めてくる)って事になってましたが、
そんなん相手に61式でどうせいっちゅうねん!!
って皆思ってました。
そう言えば、うちにもジャンクのCanon T-80(貰い物)が
どっかにあったはずなんですが...どうしたんだっけ...。
投稿: 鍛冶屋 | 2015年2月14日 (土) 16時41分
どもども、鍛冶屋教導団殿。
ちまちました話はプロの方からすると、生半可通にもならないでしょう。
飛んでくるのがライフル弾なのか滑空弾なのか、そんなの関係ないですからね。
しかし、90mmの61式戦車で125mmのT-72を迎え撃つのは、心寂しい物がありますねえ。
そのT-72は湾岸戦争でボッコボコにされました。あれは輸出専用のグレードダウンモデルだと言いますが、極東軍管区の装備のグレードも知れますね。ソビエトが崩壊直前に樺太にT-10(JSヨシフスターリン重戦車系)を配備している映像が流れましたから。
鍛冶屋殿の教導団でも研究用にT80が転がっているのですね。”幻の”なんていう方もいらっしゃいますが、意外とT80って転がっていますよね。
投稿: Rikkie | 2015年2月14日 (土) 22時19分
どうも!
いやぁ私もこのデザインは大好きですね。レンズ込みでデザインされてますね。お見事。スタイルだけで保護したくなるカメラでしたね。
これ以外にレンズはあったのかしら?
ペンタックスにレンズにAFだかフォーカスエイドだかが組み込まれたものがありましたが、あっちは悲惨なスタイルでした。
投稿: 大佐 | 2015年2月14日 (土) 23時35分
どもども、大佐殿。
このカメラのスタイリングはイイですよね。
結構、酷評しているコンテンツもあるんですが、あっしは好きです。ジャケット買いですね。
レンズは標準ズーム、望遠ズーム、50mmF1.8の3本と聞いています。
ペンタックスME-Fのレンズは持っているんですよ。ボディの適価品が見つからないのでAFは試していないんですが。
MFにはすこぶる面倒なレンズですが、ひとまずF2.8通しのズームなので使ってみたいものです。
ME-Fは個人的には好きですが、未来を全く感じさせないデザインでしたねえ。
投稿: Rikkie | 2015年2月15日 (日) 06時22分
Rikkie師匠! お久しぶりです。
しばらく音信不通になりましたが、本日から復活です。よろしくお願いいたします。
最新ネタは T-80 ですね。
他の方のコメントを読んで思ったのは、結構、皆さんお持ちの様ですね。
当然、私も T-80 は持っているのですよ。
2年程前に名古屋の丸栄で1500円で購入しました。
薄暗い場所でのピント合わせは苦手な様ですが、以外に明るい外ではピントが合うのには驚かされました。
でも、α-7000の方が明らかに優秀なのですが。
他の方と同じく、デザインとしては結構好きなのですが、シャッタ速度も絞りも分からない一眼レフって誰のため?と思い、只今、休眠中です。
同じ会社製の CANON7 の稼働率は高いのに、何となく使う気が起こらない T-80でした。
投稿: nico nico | 2015年2月15日 (日) 10時33分
どもども、niconico殿。
お久しぶりです。無病息災でいらっしゃいましたか?
おお、流石にGetなさっていますね。
メディアやコンテンツで滅茶苦茶言われている割にはちょくちょく見かけますよね。
晴天下でハッキリとした被写体だと、案外AFも当たるんですよね。意外とすれ違いのようなシリアスなシーンでも当たるときがあってビックリします。
しかし、α7000と比べたら完敗ですね。
いやあ、使って楽しいのはキヤノン7ですよ。
T80は弄って眺めるものですね。
それでも、たまには使ってやりたいと思うのですが。
投稿: Rikkie | 2015年2月16日 (月) 07時04分