オリンパス L-3
先の世界大戦にて、主に欧州戦線で突撃砲や対戦車自走砲から駆逐戦車という機種が生まれた。そもそもは余り物の軽戦車や鹵獲戦車に歩兵を支援する牽引砲を載せて自走化させたものなのだが、戦争が熾烈になるにつれ、戦車や装甲車両を直接射撃する必要に迫られた。そうすると強力な打撃力をもったロングバレルの対戦車砲を搭載し、分厚い装甲でキャビンを囲うようになる。後期モデルの3号突撃砲や4号突撃砲は既に駆逐戦車と変わらないな。ところが突撃砲は砲兵科の装備であり、おいそれと戦車(機甲)科に引き抜けない。コピュータ室を電算室と言うがごとしだ。なので、旋回砲塔を持たない駆逐戦車という機種が生まれたのだ。
近代的なキネエキザクタの登場以降、多くの一眼レフカメラはレンズ交換式か一部のユニットの交換で焦点距離の変更ができる半レンズ交換式だった。既にライカやコンタックスがレンズ交換式だったし、レンズの画角がダイレクトにファインダーへ反映するのが一眼レフカメラの特大の利点の一つだったのだから当然である。レンズ交換ができない一眼レフカメラは、廉価であるとか、メーカーが一眼レフカメラ市場に慎重あるいは技術的に試験段階でなにかと事情があった場合に限ると言っていいだろう。
ところで、一眼レフカメラのAF化が実用レベルになった頃にはズームレンズも進化して使い物になっていた。かつてはズームレンズというのは特殊レンズの一つで、画角が可変であることの犠牲として制約も多かった。しかし、ズームレンズが使い物になると、広角からそこそこの望遠までカバーしたズームレンズを一眼レフカメラのボディに固定し、一体型にした方が何かと設計的にも生産的にも合理化出来て、運用的にも安くて軽快な良いモノができるのではという考えが浮かんだ。どうせ、高くて交換レンズなんて買えないのだ。一眼レフカメラのAF化に失敗したオリンパスがレンズ一体型一眼レフカメラのジャンルを確立し、リターンマッチで戦線に風穴を開けたのがオリンパスのLシリーズだったのである。
駆逐戦車は旋回砲塔を持つ通常型の戦車に比べて生産が楽で、資材も少なく済んだ。資源枯渇と連合軍の戦略爆撃で生産力の落ちていたドイツ軍にとっては福音となった。またシルエットを低く大口径の対戦車砲を登載でき、効果的な運用も可能だった。しかし、4号駆逐戦車やヤークトパンターあたりならバランスのとれた実用機として活躍できたが、ヤークトティーガーあたりになると地上車両としてはもはややり過ぎだった。過ぎたるは及ばざるが如しである。
Lシリーズの頂点である本カメラのレンズは素晴らしい出来なのだが、その分ボディも大きく重くなってしまった。安くて軽快という利点は失われてしまったな。しかし、本カメラのレンズは本当に良いモノなので時代のアダ花とするには惜しい。後裔のL-5は小型の普通の廉価カメラになってしまった。
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コメント
これ好きなんですが、重いんですよね。基本的にせっかちなのでいわゆるネオ一眼はち重宝しています😃
投稿: ざっく | 2015年5月 2日 (土) 04時16分
どもども、ざっく殿。
そうなんですよね、いい絵を描くんですよ。
でも、やっぱり重い。
最近ではデジ一眼レフも煩わしくてミラーレスを動員する転向組の拙僧です。
投稿: Rikkie | 2015年5月 2日 (土) 04時42分
おはようさんです Rikkie師匠。
わぁ~、なんすかこの変態チックな物は!^^)。
なんか、いけない光線とかが出そうですやン。
(師匠が)持ち歩いてたら、間違いなく職質・通報
されるレベルですね。
投稿: 鍛冶屋 | 2015年5月 2日 (土) 09時35分
どもども、鍛冶屋殿。
いやいや、こいつはカメラとしての体裁がまとまっていまっせ。
世の中にはリコーミライとかコニカアイボーグとかカルディアズーム3000とか、厄介なモビルアーマーが、例の地下研究所でまだまだ暗躍しています。
投稿: Rikkie | 2015年5月 2日 (土) 15時02分
>リコーミライ・・・
合体炉歩みたいなヤツですよね!。
ピストルグリップ付いてるし、絶対怪しいですよ^^;)。
投稿: 鍛冶屋 | 2015年5月 2日 (土) 18時06分
水木しげる先生は、L-10をご愛用されていたのを、オリンパスの広報誌か何かで読んだ記憶があります。
片手でも操作が簡単で、いい絵が撮れるということでした。
L-3となると、さすがに片手では厳しいでしょうね。
投稿: なお | 2015年5月 2日 (土) 20時11分
どもども、鍛冶屋殿。
そうです。完全に70~80年代のスターシップですよね。
あれもAF不良MFOKのブツを持っているんですが、流石に稼働が難しくて(^^;。
一応、一眼レフなので使えないこともないのですが。
投稿: Rikkie | 2015年5月 3日 (日) 00時43分
どもども、なお殿。
その逸話はなんだか聞いたことがある気がします。あまり日の目を見ないLシリーズ二桁の武勇伝ですよね。
実は凝りもせずにL30を確保してしまったんですよね。300円のプライスタグに負けて。
ちゃんと使わないとなあ。
投稿: Rikkie | 2015年5月 3日 (日) 00時45分
L型スタイルではこのカメラが一番まとまりが良いスタイルでした。レンズ部分が長かったので格好よかった。
当時は巻き取り側のスペースを確保するのが大変だったんでしょうね。デジタルになって気にする必要がなくなり高倍率EVFタイプデジカメのスタンダードスタイルになったから、先見性は充分ありました。
それにしてもストロボのGNOが28もあったとは、正直ビックリ。オールインワンに偽りなしです、さすがオリンパス。
投稿: 大佐 | 2015年5月 3日 (日) 00時46分
どもども、大佐殿。
スタイリング的にもある種の感性の行きに達していますよね。カメラなんて何台も携帯するものではないのだから、本カメラ一台なら機動性もそんなには問題にならないのでしょうが、何台も携帯する阿呆にとっては過ぎたものでした。
LシリーズのコンセプトはEVF機で開花しましたね。なんでも最近ではライカ判換算で24~2000mmなんていう化け物も存在するらしいですね。天井知らずになりそう。
オリンパスの意地を感じるカメラです。
投稿: Rikkie | 2015年5月 3日 (日) 01時01分
このオリンパスのブツは、いまだに、オクでも時々見かけますよね。
当方は、この度、Lシリ-ズのデジカメ版と云われるE10を遂に購入しました。
貴方の記事のオリンパスL3もそうなのですが、オリンパスって突然変異的に一体型に、ものすごく金の掛かったレンズを搭載したカメラを出しますよね。
ウチのE10も35-140でF2.0-2.4っていう、とんでもスペックですけど・・すんごく重たいです。(笑
投稿: 秋刀魚 | 2015年5月 5日 (火) 02時26分
どもども、秋刀魚殿。
おお、E10!おめでとうございます。
あっしもE10/20は何時かは是非と思っているんですよね。でも、高い(--。
一度、ジャンクで手に取ったことがるのですが、確かに重いです。やはりL-3を思い出しました。
あのレンズにワイコンでもつけたら素晴らしく素敵な想像ができますね。
それでディマージュA1に比べてどうだと言われると返す言葉もないのですが、あの質感と存在感は容易に諦めがたいですね。
投稿: Rikkie | 2015年5月 6日 (水) 11時22分
このカメラ持ってます。
デジカメに押されて、もう10年以上動いてませんけれど。
数字の上では確かに重いですけれど、実際使ってる分にはそこまで重いとは感じなかったでしょうか。
手へのなじみが良くて、楽しいカメラでしたね。
投稿: 通りすがり | 2016年4月12日 (火) 09時24分
どもども、通りすがり殿。
確かに、本カメラの登場時はズームレンズ搭載コンパクトカメラだってえらくデカくて重かったですから、本カメラを際立って重いとするのは妥当では無いかもしれないですね。
今のミラーレス一眼はコンパクトで軽いですから。
本カメラだけで撮影するのなら妥当なサイズかもしれません。拙僧の場合、複数のカメラを携帯するのが常ですから。
レンズは本当にイイんですよね。
投稿: RIkkie | 2016年4月12日 (火) 20時04分