« キヤノン EF50mmF1.8 | トップページ | ワルツ商会 ワゴーフレックス »

2017年8月 5日 (土)

KMZ ゼニット12XP

Dscn6613ゼニット12XPは1983年に登場したゼニット12の改良型であり、同年に登場している。主な改良点は指針式TTLが内蔵LEDにより適正露出を表示するようになった。これは上下二つの赤いLEDを使用するものである。上のLEDが点灯していればオーバー、下のLEDが点灯していればアンダーを意味し、両方のLEDライトが点滅すれば適正露出を意味する。露出計そのものがナーバスだし、一般的な3点LEDに比べるとだいぶ使いづらい。

ちなみにゼニット12SDとういうカメラも存在するのだが、Camera-wikiを読んでもゼニット12に何かしらの改修を行っているらしいのだが、よくわからない。ともかく、ゼニット12シリーズは1994年まで製造され10年近くのベストセラーとなった。

Dscn6614ゼニットはM39マウントで始まった。これは内径とネジピッチはライカLマウントと同じだがバックフォーカスが一眼レフカメラ用レンズなので大きく異なるもので、規格を作る際に「少しでも面倒なことはしたくない」というロシア人のダルさが聞こえてきそうである。主に流通しているものにゼニット3Mがある。

dscn6619ニコンFがニコンSPをベースにミラーボックスを組み込んだものだとすれば初代のゼニットやゼニットCはゾルキーにミラーボックスを組み込んだものである。これらはキュートなスタイリングで楽しいものだが、ソビエト連邦も見て楽しいカメラではなく売って楽しいカメラの製造に気にするようになった。

Dscn66221965年にゼニットEがプラクチカマウントで登場する。ちなみに西側で大ヒットとなったペンタックスSPはTTL式露出計で1964年の登場だ。これはM39時代のあか抜けないスタイリングから逸脱していないが、いくらかモダンになった。内容的にはシャッターダイヤルが非回転式になっている。ということはLマウントライカやその多くの仲間たちのようにM39マウントのゼニットはシャッターを切るとシャッターダイヤルが回転するものだった。これは大きな進歩だろう。しかし、それ以外は大した進歩はない。セレン式外部露出計だし手動絞りだしフィルムカウンターは手動リセットだしクイックリターンではなかった。後裔モデルでも手動リセットは変化せず、小さなミラーにより視野率は西側の感覚では信じられないほど狭かった。スローシャッターは概念がない。

1972年にゼニットEMが登場して、やっと自動絞りに対応するようになった。世代的にはニコマートELと同世代である。あまり西側の時間軸と照らし合わせても意味がないのだが。1977年になるとやっとゼニットTTLが登場する。1983年にゼニット12が登場する。これはゼニットTTLと基本的には同じもので指針式内蔵露出計カメラである。おそらく材質の廉価か工程の省略があったのだろう。同時期にLED式内蔵露出計の本カメラが登場しているのはよくわからないが上位機種という位置づけなのだろう。ペンタックスKMとペンタックスK2の違いのようなものか。

Dscn6629_3ゼニット12SDとゼニット12XPにはペンタ部を斜めに削ったスタイリングの変わったモデルが存在するが、あまり見かけることはない。ゼニット12SDの輸出版をゼニットゼニット12XPだとするコンテンツもあるのだ、ゼニット12SDは指針式露出計なので、それはないだろう。もっとも、当時の西側の人民に親しかったのはゼニット12SDの方だろう。双方にキリル文字のバージョンが存在する。

拙僧の個体は底部に明らかに後付けの蓋がしてあるが、ネットで見ると別の個体でも同様のようだ。ネットで調べたところでは指摘が無いのだが、これはフォトスナイパーの取り付け器具じゃないかと想像する。実際のフォトスナイパーに使われたのはゼニット122Sなのだが、どうせ中は同じようなものだろう。ゼニット12XPの2点LED式露出計が3点式露出計に進化したのがゼニット122だ。ゼニット122Sの底にはあからさまにレリーズボタンがあるので外観上は区別は容易だ。多分、生産分として本カメラがゼニット122Sより後なんじゃないかな。それにしても穴を埋めるくらいなら、穴のない底蓋を生産し続ければいいと思うのだが、共産主義的な合理化なのだろう。

Dscn6617ちなみに拙僧が手に入れた個体はメイヤーのオレストン50mmF1.8が付いたもので、もちろんレンズが目当てだった。価格は2000~3000円あたりで悩む余地はない。

それでオレストンは大当たりだったが、本カメラでもひとまず撮影はできた。

本カメラはそういうポジションのカメラだ。

|

« キヤノン EF50mmF1.8 | トップページ | ワルツ商会 ワゴーフレックス »

コメント

今日は。ロシア製カメラはジャンクで希に見掛けますが、手に触れるだけで撮影感覚は未知です。使いにくい機材とは思いますが、使用対象は東側の人々であったのか。あるいは奇特な西側のカメラクラスタであるのか。
航空評論家であった佐貫又男が、ロシアの戦闘機(ヤク、ラグ)を評して『空飛ぶ機関銃』と書いています。同じようにゼニットもフィルムを入れてレンズを付けた『金属製の箱』と考えて良いのでしょうか。スローシャッターなど通常の撮影では使いませんからね。

投稿: HOOD | 2017年8月 7日 (月) 13時55分

どもども、HOOD殿。

ソビエト時代には世界で最も簡素な装備の軍隊がソビエト軍だとされました。必要最低限で簡素で廉価。カラシニコフなどは、その代表例でしょう。まだアフガニスタン戦争で西側がムジャヒディンに傾倒していた時に、少年工がAK-47だか56式小銃(歩槍)だかのマガジンを金やすりで削って調整していたのを見て、こういう軍隊にはかなわないだろうな、と少年心に思いました。

もっとも、ソビエト軍は装備は簡素でも指令系統や幕僚人事が複雑不明瞭非合理で国が分裂してしまいましたが。

ソビエトカメラはちゃんと動いている限りでは銃器でもいじっているような感覚になります。一眼レフにスローシャッターが無くて距離計連動機にはスローシャッターがついているのはレフレクスミラーのショックがスローシャッターに堪えないとの判断でしょうか。まず、ロクに考えていないでしょうね。

ソビエトカメラは意外にも北米向けによく売られました。アルファベット表記のブツが多いのもその為です。アメリカカメラもおおらかで大雑把ですから、安くて壊れるんだけど簡単に直るカメラというのは国民性にあったのかもしれません。

我が国にもメプロゼニットとしてダイエー系で発売されたようですが、我が国のような繊細で正確が当たり前の国民性にはフィットしなかったのでしょう。なぜダイエーの商社マンが商売として成立すると思い至ったのは謎ですね。

投稿: Rikkie | 2017年8月 7日 (月) 16時54分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/157797/65618694

この記事へのトラックバック一覧です: KMZ ゼニット12XP:

« キヤノン EF50mmF1.8 | トップページ | ワルツ商会 ワゴーフレックス »