« フジフィルム CLIP-IT DS-30 | トップページ | 上海・蘇州攻略作戦 »

2018年6月16日 (土)

さらばカシオ その2

Cimg4180QV-3000EXでコンシューマー向け300万画素級デジカメとして先陣を切ったものの「やっぱりカシオだから」という理由であまり打撃力にはならなかった。確かにQV-3000EXに問題がないわけではなかった。ボディはペラペラの樹脂で樹脂が悪いわけではないのだが全体的に建付けが悪く、電池蓋やメディアの蓋などは力を入れたら外れそうだった。しかし、冷静なガジェット好きは画質の良さを指摘し、カシオに好意的なフォロワーそうも確かにいた。しかし、そういう方は箱のデザインがカメラというよりはポケコンのそれに似ていることに寛容だったのだろう。

Dscn3192樹脂製で高級感の無さを指摘されたカシオは頭に来たのかQV-3000EXの発売から4か月後、XV-3という金属製ボディの単焦点レンズの300万画素級デジカメを投入している。描画も良好で、恐らくニコンやキヤノンが出したら称賛されたのだろうが市場からは大した評価を受けていない。意外とジャンク市場に出てくるので感度の高い方は少なくなかったのだが、レンズがニッコールだったら10倍は売れたんじゃないだろうか。

Dscn5945一方でQV-10の回転レンズ、つまりスイバルレンズスタイルは継承しており光学3倍ズームレンズのQV-2300UXもそれなりに売れたのだが、ガジェット好きの興味の対象は当時は珍しい光学8倍ズームレンズを搭載したQV-2800UXだった。当然手ぶれ補正機構は無いし、液晶ビュワーだった晴天下では見えづらいから、これでパフォーマンスよく運動会のお子さんを撮るのはスキルが必要なのだが「可能なのではないか」というのは限りなく財布を開く理由になるのだ。

このように、ちょっとトリッキーなカメラ好きやガジェット好きを中心にカシオフォロワーは形成していた。ただ、このQV-2300UXにしろQV-2800UXにしろ単三電池4本を支える底部の電池蓋が容易に破損するとか、カシオの詰めの甘さが見れる。

Dscn2332実際、カシオの詰めは甘かった。目眩を起こしそうな速さで進化するデジカメ戦争の中、新世紀になってQV-3500EX、QV-2400UXQV-2900UXを登場させている。しかし、これらは前年登場したQV-3000EX、QV-2300UX、QV-2800UXにベストショット機能をつけただけものである。確かベストショット機能はその後のカシオのデジカメで錦の旗になるのだが、凄惨なデジカメ戦争の真っただ中では呑気と言わざるを得ない。ちなみにベストショット機能というのは「かなり凝ったシーンモード」だと思っていただきたい。

そんな中、カシオはQV-4000EXを出す。これはオリンパスのキャメディアC-4040ズームなどと同様、早い段階での400万画素級コンシューマー向けデジカメだったが、あまり話題にならなかったようだ。もっとも、85万画素級デジカメあたりから黄金時代を横臥していたオリンパスが怪しくなり始めたのも、この頃である。

Dscn1875もはや普通の路線では市場に響かない。そうカシオも決心したのか2002年の6月に出したのがエクシリムEX-S1とEX-M1である。これは「着るカメラ」というコンセプトで開発した軽量ながら金属製ボディとスリムなスタイリング、高レスポンスを兼ね備えた斬新なデザインだった。当時のデジカメといえばIXYデジタルとかファインピクスF401とか、それなりにコンパクトなカメラは存在したがレスポンスはもっさりしていた。それなりにフィルムカメラに接近するレスポンスのデジカメは三洋のDSC-MZ1やDSC-MZ2くらいであった。

Cimg0122もっとも、勿論、カシオが夢のようなマジックを持っているわけではなかった。2002年のデジカメとしてはかなり足りない130万画素級撮像素子はダイナミクスレンジも褒めたものではなかったし、レンズはAFユニットを廃した固定焦点(パンフォーカス)でマクロモードも無し。かなり思い切ったデザインだ。

実はレスポンスだけで言えば同じ固定焦点(パンフォーカス)で、こちらはマクロモードも搭載した200万画素級のファインピクスA201や130万画素級のファインピクスA101も存在した。ただ、これらは単三型電池2本使用でコロッとして可愛らしいカメラではあるものの、どちらかといえば当時流行っていたトイデジカメを巨人のフジフィルムが真面目に作ったもので斬新さという点では目立たなかった。カシオもQV-2100を出しているが、同じポジショニングだろう。実際、これらの方が同じ条件下なら画質は良い。

しかし、新しいエクシリムというコンセプトは画質の不足など吹き飛ばすほどの魅力にあふれていた。恐らく不格好でもっさりしたデジカメに飽き飽きしていたガジェット好きやスナップシューターが多かったのだろう。EX-M1は音楽再生機能もついている。まだスマートフォンなどは存在せず、携帯電話での音楽再生も一般でなかった頃だ。拙僧は200万画素級デジカメとなったEX-M2なら既にコンテンツを作った。

Dscn9323エクシリムEX-S1は200万画素級のEX-S2に発展し、300万画素級のEX-S3にまで至った。しかし、固定焦点(パンフォーカス)では300万画素級が精一杯であった。そこでエクシリムはペンタックスと共同開発により、当時世界で最も小型の光学ズームレンズとAFユニットを搭載したコンパクトデジカメであるペンタックスのオプティオSの兄妹機であるエクシリムEX-Z3の登場となる。

Dscn1141それでカシオがEX-Sシリーズという超薄型路線を諦めたかといえばそんなことは無かった。2004年、カシオはエクシリムEX-S100を市場に投入する。これは当時としては物足りない300万画素級撮像素子に光学2.8倍ズームレンズを組み合わせたものが、何しろ薄かった。どうやってレンズを格納するのか不思議だ。カシオのドクトリンは「遊び心」であり言い換えれば「ユニークな一発芸」だ。「ビックリするほどの薄さ」はカシオのようなニッチなニーズを狙うには十分すぎる「一発芸」だったのだ。

Dscn2256カシオの「ユニークな一発芸」が花咲いたのはどちらかといえばエクシリムEX-F1から始まるハイスピードエクシリムと称する高速連射路線だろう。これはガジェット好きにも既存のカメラに満足できないカメラファンにも響いた。しかし、拙僧はあまり高速連射に関心がないので詳しくは述べないことにする。肝心なのはエクシリムブランドの一つの方向性を決定づけるような「一発芸」だった。

Cimg0465このように「遊び心」や「ユニークな一発芸」でニッチな市場を獲得していたカシオだったがコンパクトデジカメが成立し無くなったのと同様に成立し無くなった。言わずもがなスマートフォンの登場である。スマートフォンでできる遊びは「遊び心」などという牧歌的なモノを逸脱していたし「一発芸」どころか「百発芸」を持っていた。ニッチな市場もスマートフォンが吸収してしまったのである。

カシオはコンシューマー向けカメラの生産を狩猟したが、コニカミノルタや京セラがそうであったように工業用・業務用のカメラやレンズの生産を続けているのかはよくわからない。なぜならカシオは光学機器メーカーではなく電子機器メーカーだからだ。

QV-10という偉大な業績を残したカシオだがコニカやミノルタといった我が国の感材やフィルムカメラの黎明期を開拓し支えたメーカーが舞台を降りたのと同様、舞台を降りた。


|

« フジフィルム CLIP-IT DS-30 | トップページ | 上海・蘇州攻略作戦 »

コメント

QX-3000EXは、この兄弟の中でも(本家も含めて)一番生かしていると思うんですが。。。
映像エンジンもTOSHIBA PDR-M70(Allegretto)よりも映像エンジンはよさげですね。
この次世代の400万画素級のものより前年の300万画素級の方が好きだったりします。
ソニーのS85よりS75,CAMEDIA C-4040よりは2040,3040、、、一応5050まで追ってみましたが3040が気に入っています。
頂き物の中にXV-3とQV2800USが入っていたのですが2800の方は電池蓋が、電池を入れると閉まらなくなり、捨ててしまったのですが、悔やまれるような良い写りですね。XV-3の4群5枚の(クセノタール型???実際はわかりませんが)おとなしい画調なのに切れの良い写りは、充電器とだめになった充電池と駄目になったカメラ、CFカード2枚を3千円で買い、互換電池を買った甲斐はありました。ついでにカタログまで買ってしまいましたが、、、
実に良いカメラです。

エクシュリムというとEX-S1だけです。
後のズーム付きだの、ただカシオのカメラというだけでエクシュリムというのは認められませんよ。
こんなどこでも持ち歩けるカメラが欲しいなぁと思いつつ、横目で見つつ、予算不足で売価27800円のオリンパスC-2Zoomを買って、画質にシコタマ落胆したので、横目で見ていたEX-S1の姿は強烈に脳裏に焼き付いています。
ビッグミニ初代が出たときと同じような衝撃でしたが、本当に当時は未来そのもので想像すらできなかったスマートフォンのカメラで実用写真が撮れるなんて、発展の速さに時空が歪んで感じられ4次元世界に迷い込んだような気すらします。
(ちなみにスマートフォン元祖はiPhonだという方がいますが、断じて違います!!ウィルコムの03です。)

投稿: 横須賀与太郎 | 2018年6月28日 (木) 20時20分

どもども、横須賀与太郎殿。

熱いコメント、ありがとうございます。

QV-3000EXの描く画像は初期の300万画素のライバルたちに比べて好ましいと思います。ただ、メディア蓋とか可動部分の質が壊れやすそうなのが難点でしょうか。実際、あっしのブツは壊れ嗎りした。ほとんどの部分はそれなりのクオリティなのですが、QV-2300UX系ボディの電池蓋の壊れやすさも困ったものです。

VX-3は電池がもっと汎用性のあるものだったら使ったのですが。あの電池は今では高騰しているんですよね。

あっしもデジカメが最も面白かったのは300万画素級までだと思います。生き残ってるメーカーも多かったし、その分ユニークなカメラが多かったです。CHe-ezだって結構る気でした。

投稿: Rikkie | 2018年6月29日 (金) 05時38分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/157797/66826250

この記事へのトラックバック一覧です: さらばカシオ その2:

« フジフィルム CLIP-IT DS-30 | トップページ | 上海・蘇州攻略作戦 »