2020年4月11日 (土)

第4回クラシック&中古カメラ掘り出し市名古屋ジャンク市会戦

Img_0529我が第88遊撃師団(遊撃は称号で実態は諸兵科連合)は本年春に名古屋で勃興した中古カメラ市戦争の初日に参戦した。辛くも要衝「キヤノンVI-T」を制圧したものの、その損害は無視できないモノであった。当初は戦果よりも出血を抑える起動防御を主軸とした作戦だった。しかし、戦争の潮目であるジャンク市制圧作戦には参加が叶わないと判断し、ごり押しで戦果を急いでしまった感があった。 何故なら敵の帝国同盟はジャンク市を週末に移動するという戦略的な焦土作戦を行っていたのだ。これは多くの共和国連合のジェントリには都合がよいモノの、拙僧のような平日に都合がつくナガレモノにとっては都合の悪いものであった。何故なら週末は師団長兼妻の目が厳しく、佐官で戦時副師団長の拙僧が師団を動かすには極めて制約が大きかったのだ。時は桜花の盛り。師団長兼妻からすれば「お花見ピクニック作戦」が最優先であり、とても大粛清の嵐の中「ちょっと中古カメラ市に行ってくるね」などとは発言できないのが現状だったのである。

 

Img_0531ところが師団長兼妻の方から吉報が届いた。金曜日に午後半休を確保し「お花見ピクニック作戦」を前倒しするというのだ。しかも、土曜日は「ゴルフ初心者レッスン作戦」の為、駐屯地を留守にするという。拙僧麾下のレドビキは色めきだった。速やかに予備の部隊を動員し第二梯団を編成して戦地「マツザカヤ高地」へ向かったのである。

しかし、やはり早急な動員はタイムスケジュールに響き、拙僧の師団が「マツザカヤ高地ヤバチョウ境」を超えたのは作戦発動時刻を7分も過ぎてからだった。各地のジャンク籠は血気盛んな共和国連合の先遣隊にて極端に消耗している状況だった。

Dsc01772 戦果は下記の通り。

アルコ35(オートマット難) ・・・ 3800円
マミヤ16 ・・・ 2500円
フレクサレット ・・・ 2000円
ポケットフジカ600 ・・・ 500円
APSコンパクトカメラx3 ・・・ 100円x3

ファインピクスS2プロ ・・・ 2000円
パワーショットG6(バッテリー、2GBコンパクトフラッシュ付き) ・・・ 1000円
SDHCカード(16GB) ・・・ 500円
SDHCカード(8GB) ・・・ 500円
xDピクチャーカード(2GB) ・・・ 500円
コンパクトフラッシュ(4GB) ・・・ 500円 

 

Img544 SDHCカードは地味に嬉しい戦果だった。何故なら師団の先遣隊の装備であるパワーショットE1にSDカードを装填するのを忘れていたのだ。なので、現地調達となったのだが、意外と中古カメラ市で中古記録メディアを確保するのは難しく、発見したのは幸いだった。もっとも「記録画像未削除」と注釈が書いてあったものの、本当に画像が残ったままなのはいかがなものかな。

アルコ35はちょっと前だったら、あまりジャンクで転がっていないブツだろう。あるいは転がっていても速やかに迎撃されてしまうスイートな敵機だ。拙僧の遅れた師団偵察隊がアルコ35を発見したのは既に会戦開始から20分は経過した後なので、何故、このような獲物が残っているのか不思議だった。いじってみたら動きそうなので確保。開戦初日に確保した期限切れカラーネガを装填してスナップシューティングをしたのだが、なるほど時折巻き上げた後にシャッターが切れない場合がある。途中で気づいたのだがオートマットのギミックが上手く動作せず、シャッターチャージレバーのチャージが不十分な状態であることが分かった。鏡筒にはチャージレバーが露出しており、不十分の場合は容易に確認でき、また、その場合は容易にマニアルでチャージできたので問題なしだ。現像すると、時折、二重露光しているコマがあるのだが、これがオートマットの不具合を原因しているのかは分からない。それでも、ひとまずシリアスでないスナップシューティングには問題なしだろう。

Dsc01787時を戻すのだが、最初に確保したのはフレクサレットだった。これは簡単な動作チェックとレンズの具合だけチェックして速やかに確保した。何かしらの不具合があったとしても損害に見合った価格帯でネットオークションで捌けるだろう。色めきだったのは偵察隊のBRDM2の目の前に急に現れたファインピクスS2プロなのだ。これには拙僧の師団は色めきだった。ちなみに、このジャンク籠の領主「イトーカメラ帝国」は食わせ者で、ジャンク籠が空いてくると隣の5000円ショウウィンドウのブツを次々とジャンク籠に送ってくるので気が抜けない。無論、拙僧は即座に迎撃した。この種のブツは動作チェックなんてできないし、目で見たダメージがなければゲット。動かなければそれだけの話だ。走りだしたら何か答えが出るだろうなんて、拙僧もあてにはしていないのだ(by SHOUGUN)

Dscf0024ファインピクスS2プロは「動いた」とだけ報告したい。そのハニカムCCDで描くアニメ絵のような画像はとても興味深いが話が長くなるので割愛させていただきたい。

ホットなブツといえばマミヤ16である。過去に何度も接敵していたのだが、いずれもカートリッジが入っていなかった。今回のブツは入っていたのだ。今更、120判フィルムを16mm幅にカットするかというと微妙だけど、現像ベルトも自作してあるし夢を残さないとな。

またしても拙僧の師団は大出血により当面は組織的な運用は不可能になった。しかし、自粛・中止の世の中での催しというのは少なく、拙僧も憂さを晴らさせていただいたというのが現状。

早急に金策を練る必要があり、兌換性の高いカメラ・レンズやサバイバルゲーム用の電動ガンを処分する必要があるが、世間の緊急事態ぶりに比べたら大海に跳ねる小魚である。

 

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2020年4月 4日 (土)

第4回クラシック&中古カメラ掘り出し市名古屋会戦

Pap_00013月中旬ころ、お世話になっている水彩画同好会の感じの方から来期、4月以上のスケジュール表が届いたのだ。3月はコロナ熱で軒並み中止となってしまったのだが、本当に4月から行うことができるのだろうか。それはともかく、その封筒にには名古屋で勃発する中古カメラ市戦争の招待葉書のコピーが付属していたのだ。

拙僧の師団は疲労はしていたモノの、何しろ3月の予定がほぼほぼ無くなってしまったので若干の余力があった。しかし、戦争で大出血してしまうと来期以降の行動に制限がでる。師団の定数を割り込むような戦闘は避ける。そう誓って、名古屋は矢場町島へと駆逐艦”めいてつ”に乗り込んだのだ。

Pap_0000拙僧の初動は遅れた。戦争の勃発には間に合わないと覆われたが、大発”名城”で矢場町島マツザカヤビーチに上陸した時には開門数分前だった。

拙僧の師団を不安にさせたのは門の前に誰も待っていないのだ。確かに戦場が栄島から矢場町島に移ってからジャンク市は土日に限られるようになった。これは通常勤務の共和国連合にとっては都合がよいだろうが、平日に自由な時間を作ることができ。週末は師団長兼妻が在住で師団を自由に動かすことができない拙僧には都合が悪いモノであった。

それにしても門前に拙僧一人というのは不安になり、上陸地点を間違えたかと思ったほどだ。やはり流行病の影響があるのだろうか。

Img_2406 開門とともに偵察隊がダッシュし、7Fの催し会場にたどり着くと共和国諸国連合は既に招待規模で部隊を展開していた。帝国同盟は規約を守ったようで、「B級品」はあっても「ジャンク物件」は無かった。拙僧の師団の欲するのは高くても500円のプラカメなのだが仕方がない。そこで概ね1個100円のアクセサリーコーナーで戦火を交えた。

以下は戦果である。

・キヤノン VI-T ・・・ 5500円
・キヤノン ズームファインダー ・・・ 3300円
・リュックサック型カメラバック ・・・ 2500円
・2GBのSDカード ・・・ 200円

以下、1個100円物件
・レンズFキャップ x4
・レンズRキャップ x6
・フジモト Eラッキー 38mmF2.8
・フィルター(プロテクター/スカイライト) x3
・ステップアップリング(52->58)
・カメラストラップ(ニコン/キヤノン) x2
・フィルターレンチ
・PLチェッカー
・セコニック セレン式メーター
・LPL フォーカススコープ
・ブロアーブラシ
・オリンパス マニアルアダプター(OM10用)
・フジフィルム スーパープレミアム400 27枚撮り(有効期限2018年10月)
・フジフィルム ネクシア200 40枚撮り3本パック(有効期限2002年7月)
・フジフィルム プロビア400X 120判 3本入り(有効期限2012年11月)
・パナソニック ミニDV カセット 3本パック+1本
・ミノルタ インテリジェントカード(ブラケット、クローズアップ,デプス、スポーツ、ポートレイト、ケース)

おまけ、レモン社名古屋店にて
・ロモグラフィー モノクロネガ400 3本パック ・・・ 2323円

Dsc01700

地味に嬉しいのが200円の2GBのSDカードで、いまだに師団の主力を担うペンタックス*istDLはSDHCカードに非対応なのだ。ぼちぼち手持ちのSDカードが使えなくなっているので補充は嬉しい。Eラッキー38mmF2.8はちょっと状態が良くないのだが、多分ハーフ判用だと思うのだ。だからといってハーフ判も依然としてELニッコールで焼くと覆うのだが100円なら歴史的な文物として確保しても良いだろう。ケースにスカスカの乾燥材つきだった。同様にPLチェッカーなんて絶対に使わないのだが、凄く綺麗な状態なので思わず火線を向けたのだ。今更、2002年に期限が切れたAPSフィルムがまともに使い物になるとは思えないが、もしもジャンク市会戦に参戦したらツマラナイAPSカメラを確保するかもしれないしな。

Dsc01731

 全く余剰であり余計な出血だったのがキヤノンVI-Tである。1テーブルがほぼほぼキヤノンLマウント機というブースがあったのだが、初戦ではズームファインダーしか拾わなかった。何故ならキヤノンのLマウントボディはいくつか師団で余剰となっているし、ソビエト製ボディを含めると稼働率が低いというか全く稼働していない。一方でLマウントボディとして稼働しているのがベッサR2とキヤノンPなのだ。キヤノン7も時折稼働している。ベッサR2はモダンで信頼性が高いのだが、甲高いシャッター音がキャンデットフォトに不向きということもあって、そういう時にはキヤノンのボディになるのだ。

それでも、トリガー式巻き上げの個体が無かったら拙僧の偵察隊もスルーしただろう。しかし、よく見るとキヤノンVI-TとキヤノンV-Tがあって、ベッサR2にビットユニットをつけたのとはまた違う趣があるのだ。ベッサ用のビットユニットは持っているのだが、あまりフィーリングが好きではないので実戦に投入したことは僅かしかない。しかし、キヤノンボディは専用設計だからなのかとてもしっくりくるのである。ファインダーから目を離さずに巻き上げができる。

Dsc01739 それでも、Lマウントボディの稼働率の低さからすれば完全な余剰である。散々いじって帰還しようとしたが郵貯銀行の講座を見たらエアガンなどを処分した金額がそこそこになっており、再び戦場に戻り買ってしまった。これは実際に使うというよりは100円のアクセサリーをいじっているだけでは満足し無くなってしまい、目と指が金属係数の高いカメラを欲してしまったのだろう。冷静に考えたらついでに寄ったキタムラで1.2万円弱で転がっていたD300を買った方が稼働が高いのだが、中古カメラ市戦争に参戦するというのはそういうことではないだろうか。

果たして師団長兼妻の眼をすり抜けてジャンク市会戦に参加できるかが目下の関心なのだが。

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2020年1月24日 (金)

あけましておめでとうございます

P1020145今更ながら、あけましておめでとうございます。

モロッコから帰国後、埼玉のイルクーツクに帰省してたので報告が遅れました。三河の駐屯地に帰って来たのは一昨日なのですが、やっぱり疲れましたな。困ったことにイルクーツクの実家はWiFiにも入っておらず、インターネットに繋がるPCが無かったことも、ご報告を送らせた原因でもあります。

P1020210モロッコに出発したのは去年の大晦日でした。しかし、iPadを海外まで持参するつもりは無かったので、それよりも早くイルクーツクに送ったのでネット的にはオミットでした。

それでモロッコですが「鉄道のスケジュールは全くあてにならず普通に3時間くらい遅れる」とか「写真を撮るたびに物乞いがワラワラと集まってくる」というようなコンテンツもあって肝を冷やしたのですが、要らぬ心配でした。むしろ、「イスラム教」という強いルールは一定のモラルを保っているのではないかという感じです。よっぽど共産圏の国の方が物騒ですな。

105_0783   共産圏の国では空港や鉄道駅を降りるとワラワラといかがわしいタクシーが取り囲むというのは普通です。しかし、モロッコに限ってはそんなことはなかったですね。勿論、タクシーはぼったくろうとするのですが、割と簡単に折れます。もっとも折れない強いケースもあるのですが、どうも「お祈り」の時間帯はタクシーも休業するようで連中も強きになりますね。

お土産物もぼったくるといえばその通りなのですが、拙僧夫婦の買うようなモノは大したものではないし、ふっかける幅も共産圏のモノと比べては節度のある範囲です。連中との交渉は怒鳴りあいになりますが、ムスリムの方は怒鳴りあうのを好まないのかなあと思いましたね。

Pc310089 それで動員したカメラなのだがメインがオリンパス「μ1030」でサブがコダックの「PLAYSPOT VideoCamera ZX5」だったのだ。

オリンパスはタフな環境に耐えるものだと期待していたのだが3日目でバッテリーエンプティ。LOWAの互換バッテリーも持って行ったのだが使い物にならなかった。LOWAのバッテリーもちゃんと管理すれば使い物になるので拙僧の管理の問題だろう。それでサブのコダックを稼働したのだが、これは簡易水中ムービーデジカメをスチルで撮影できるようなモノでパフォーマンスは著しく劣るのだ。それでもないのとあるのでは全く違うからな。コダックは内蔵バッテリー式で旧スマートフォンと同じ規格の端子で充電できるので取り回しがイイ。

帰国後、イルクーツクに滞在し東京に撮影作戦を実行した。

いずれは報告させていただきたい。

本年もよろしくお願いします。

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2019年12月28日 (土)

よいお年を

Img748 今年最後に報告させて頂くカメラを考えている間にタイムエンプティになってしまった。実は今年の年末年始はモロッコで過ごすのだ。かなりの強行軍の上、妻が米かキムチ麺しか食べられないのでレトルト食品など携帯品がコンパクトにできない。なんとかコンパクトデジカメを2台動員できたがフィルムカメラはとても無理だなあ。

Img864 インターネットの世の中なのでホテルは比較的簡単に確保できたのだが、列車とバスは難航した。何しろ南部のマラケシュからジブラルタル海峡に面するタンジェまでオンタイムで6時間ほど列車に乗るのだ。1等席が取れないと洒落にならない。

Img639 結果的は膨大な時間と気力を消費したがモロッコ国内バンクのクレジットカードしか決済に使えないようだ。ページにはVISAが使える風なことを表示しているのにたちが悪いな。バスの方は甚大な消耗戦の結果、確保することができた。列車はモロッコ到着日に駅で確保するしかないが、トランジットも含めて15時間くらい飛行機で移動した後なので不安は尽きないな。

Img500 成田発で成田に帰ってくるので帰国後はしばらく帰京するつもりだ。故郷にはカメラを何台か送るつもりなので東京散歩を期待している。ブログネタができるといいな。いや、無事帰国できるといいな。

Img177皆様も良いお年をお迎えください。

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2018年7月19日 (木)

!!中止!!7/21:募集!!新宿・中野打通作戦->7/22午前中

申し訳ないのですが7/21の作戦は諸般の事情で中止させてください。

既に参加をご表明頂いた方には大変ご迷惑をおかけして申し訳ないです。

尚、7/22(日)の10;00に拙僧はアルプス堂にいます。

もしも、お時間の余裕のある方はお合流願えれば幸いです。

午前中だけになりますが。新宿・中野を攻めましょう!

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2018年6月30日 (土)

7/21:募集!!新宿・中野打通作戦

Image1427中旬にしばらく帰京することになりました。

なので延期していた新宿・中野打通作戦を開始するべく準備を進めています。

是非、打通作戦への参戦を募集させていただきます。

集合は7/21、13:00にアルプス堂。赤茶髪の眼鏡男を発見したらお声がけお願いします。

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2018年6月22日 (金)

上海・蘇州攻略作戦

Img_4229先週は、またブログの更新を飛ばしてしまい申し分ない次第である。実は「さらばカシオ その2」を書いていたのだが金曜日の早朝から上海に向かい姪の結婚式に参加したのだ。ブログの記事がどうにも間に合わなかったのである。なんだか書きたいことはあるのだが、上手く言語化が追いつかないのは拙僧も老いているのだろうか。

P1010323

それで仕事が鬼忙しい妻は日曜日には帰国したのだが、拙僧は水曜日まで大陸に滞在することにした。なにしろ拙僧は暇人だからな。目的の一つは蘇州まで進撃することでもう一つの目的はフィルムや印画紙といった感材の確保だ。何故か知らないがコダックやイルフォードの感材が大陸の方が3~4割安いのである。

P1010469蘇州の行きは楽勝だったのだが、帰りは嫌がらせをさせられて新幹線の切符ではなく在来線の切符を買わされてしまった。おまけに出発は1時間後。行きは新幹線で20分くらいでついたのに帰りは2時間近くかかってしまったぜ。

Dscn2812恨み節はともかく話を感材に絞ると、結局高くて買えなかった。というか金銭的な余裕が思ったよりもかなり厳しくなってしまったのである。それは当然で2~3年前だったら10000円で760元前後だったレートが今回は550元くらいだったのである。これではフィルムの売値が安くても高くて買えないことになる。画像は友人からのプレゼントの120判トライXである。

幸い、最近コダックのフィルムが若干安くなっているのだがアクロスの消滅の打撃は避けられない。

個人輸入も検討したのだが、北米だって今の大統領は何を考えているか分からないからレートは不安定だ。結局、リスクを冠が見たらビックカメラのポイントを貯めるしかないな。或いはキタムラのフォトカルチャーカードの値引きを狙うか。

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2018年5月19日 (土)

さらばカシオ その1

Dscn7363とうとう、カシオがデジカメ戦争から脱退した。拙僧の認識する限りカシオはカメラメーカーでもなければ光学機器メーカーでもない電子機器メーカーである。電子スチルカメラで大損したカシオにとって”カメラ”という単語がタブーとなり、携帯TVという名目で開発を進め、最後の最後で液晶デジタルカメラとしてQV-10の発売に至ったのはNHKの「プロジェクトX」でも有名なくだりである。なのでコニカミノルタや京セラが産業用カメラ屋レンズにシフトした様になるのか、それとも再び”カメラ”がタブー視されるのかは不明だ。

Qv10002QV-10は25万画素級のスイバル(回転レンズ)型のデザインだった。QV-10は世界初のデジカメという訳ではなかった。QV-10よりもよっぽど綺麗(当時)に写るデジカメはリコーやコダックにもあった。しかし、それらは液晶ビュワーを持たないか高額なオプションであり、カシオが秀悦だったのは最初から液晶ビュワーを搭載していたことだ。何しろ、そもそもは携帯TVとして予算を獲得したくらいだからな。

また、コダックのDC-20(チノンのES-1000)なんて1回に8枚か16枚しか撮れないのに100枚近い枚数の画像を撮ることができた。また、画像をサムネイル表示出来たり遊び心を感じることができた。伝統的な光学機器メーカーは真面目に綺麗な画像を写すことに心血を注いでいたのだが、カシオが拘ったのがユーザーインターフェイスだったのだ。この点がデジカメとカメラの違いに気付かなかった伝統的光学機器メーカーに対して、カシオがアドバンテージを得ることになる。

Img_8372しかし、そのアドバンテージは長くは続かなかった。QV-10のデザインはスチルカメラというよりもムービーカメラに近いものだった。露骨に言えばシャープの液晶ビューカムだ。これはデジカメの起源がムービーカメラや監視カメラから派生したものだということを物語っている。カシオは画像を無線転送できたり「面白いこと」に重きを置いていたのだが、その間に伝統的な光学機器メーカーはせっせと高画素化に成功してしまった。デジカメのアーリーニーズがメガピクセルの時代に35万画素級のQV-770を出していたのは、いくら何でも呑気だったとしか言えない。この辺はデジカメ戦争の潮目を電子機器メーカーのカシオが見誤ったのかもしれないな。

Qv770044ちなみに、この画像はQV-770の前オーナーが残した内蔵メモリに入っていたもので、ファインピクス700パワーショットA10の時代に至っても35万画素級の内蔵メモリ機というのは呑気が過ぎる。無論、旧式のXLR250バハに乗り続けるのは意義がある。

Dscn1108
カシオとしても、ただ呑気だったわけではない。カシオのポリシー、ドクトリンは「遊び心」である。これは「飛び道具」と拙僧は理解している。初めてフィルムカメラの代用品として認知されてのが恐らく1998年に登場したファインピクス700であろう。紀香さんの起用も既に忘れられてしまっただろうが。

カシオも1998年に130万画素級のQV-7000SXを登場させているのだが、あまりヒットしたとは言えなかった。既にカシオ式スイバルスタイルが古臭かったのだろう。そこで1999年に登場したのが光学8倍ズームレンズを搭載したQV-8000SXである。これは当時としては画期的だった。

そもそもデジカメはムービーデジカメから派生したものだし、ムービーデジカメからすれば10倍ズームレンズ程度は当たり前だった。何せ撮像素子が小さいからな。レンズのイメージサークルを小さくできる。これは8mmシネカメラと理屈は同様だ。絵作りもなかなかのものだったが、QV-10譲りの見飽きた操作系と質感、それに「カシオのカメラだから画質は悪いだろう」という先入観からヒットとはならなかった。しかし、後のQV-2800UX2900UX辺りではカシオのファン層というのは形成されている。

Img_8101しかし、「変で面白そうだけど画質が悪いとね」という先入観はカシオとしても甘んじることはできなかった。そこで登場するのがQV-2000UXである。これはスイバルレンズのQV-2800UX/QV-2900UXや、そのベースモデルのQV-2300UX2400UXの母体となるカメラなのだが、画質は中々よかった。しかし、そのデザインはオリンパスμばりのカプセル型ボディになっているのだが、美しさとはとてもかけ離れた。そのせいもあって、やっぱりカシオのデジカメはイモっぽいという評価は変わらなかったようである。

Dscn3351画質の低い評価はカシオにとって不名誉で世界初のコンシューマー向け300万画素級カメラはカシオのQV-3000EXから始まった。これは同時期にキヤノンからパワーショットS20が登場しており、世界初の照合の決着はグレーである。ともかく、世界に先駆けていたのには変わりない。

それでカシオのデジカメの画質の評価は一定に達するのだが、結局、キヤノンのマッスルモデルであるパワーショットG1に対する「プアマンズG1」などと呼ばれてカシオの名誉とはならなかった。

続く

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2018年5月 5日 (土)

春季:名古屋中古カメラ・用品大バーゲン戦争

P4190003過日も過日、4/19に名古屋栄にて戦争が勃発した。今更ながら戦果を報告されていただきたい。

Dscn2133第一次会戦: ペンタックス 45~125mmF4 500円

タムロン SP 28~80mmF3.5~4.2 500円

ペトリ 55mmF2 500円

ローライ プレーゴミクロン 500円(液晶不良)

ヤシカ エレクトロ35FC 1000円(完全ジャンク)

オリンパス μ(初代) 300円 (完全ジャンク)

キヤノン オートボーイジェット 1500円(電池付き動作OK)

ヤシカフレックス C型(?) 500円(ネームプレート欠落)

キヤノンメーター 100円 (一応動く)

ブロニカ TTLファインダー 500円 (電池室腐食)

LPL ステンレスタンク120+ライカ判リール 500円(元箱付き)

プラクチカBマウント->ソニーEマウントアダプター 1000円

カメラスタイル 500円

第二次会戦:

ペンタックス Z-5P 250円

レモン社名古屋店戦線:

キヤノン EOS10D 2800円(?)

オリエンタル シーガル100

P4190004_2サバイバルゲーム関係の充実にシフトしているのと単車のシーズンが始まることもあり、戦線の拡大は控える方針であった。

しかし、開戦前30分にはついてしまい、そこそこの展開になってしまったな。驚いたのは隣の若い衆で引き釣り鞄を装備していたのだが東京から前の利したそうだ。

なんだか東京の方が遥かに充実していると思うのだが。

P4190005ただ、今回はあまりスカッとした迎撃は無かった気がする。あえて言えば久しぶりに暗室用品を手に入れることができた。最も拙僧は金属リールは苦手なので、1度も運用せずに処分してしまうかもしれない。

P4190002不穏な空気というのは以前からはっきりしていたことなのだが、名古屋中古カメラ・用品大バーゲン戦争を展開していたデバート丸栄が今年最後に解体されてしまうのだ。戦場で配られたビラによると6月には「さよなら中古カメラ・用品大バーゲン」が勃発するようなのだが、今年は秋季も歳末もキャンセルとなるようだ。

会場の確保が困難であるらしい。

来年4月には”ウィンクあいち”で戦争は再発するようなのだが、先は不透明だという。

拙僧も大粛清の最中で新たな装備を加えるのは消極的なのだが、無くなるとなると寂しい話である。

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2017年12月30日 (土)

フジブロFM3とバリグレードWP

Photo今年もお付き合い頂き、ありがとうございました(mm。

今年のビッとしたことは、かなり過日になるのだがポートレイト撮影会の合同写真展に展示したのだ。

予算の都合上、「古アパートを改装したクラフトワーク共同工房兼販売所」みたいなところで展示をしたので、来場者は少なかった。というか、そもそも建屋の来場者が少なかった。前に人がすれ違うのも困難なほど人が入っていたことがあったのだが、あれは有名なテナントが一時的に入っていたのだろうか。

今回の話は印画紙が主題なので添付画像に注釈を入れさせていただきたい。

これは六つ切りのバリグレードWPを3号で焼いたものである。もう少し焼き込んだほうが好みなのだが、モデルさんの視点からすると、この塩梅がいい気がしたのだ。

Photo_2そうはいってもプリントを展示するのは良い気分だし、モデルさんも数人いらしてくれて開催して良かったと思う。できれば写真家や芸術家を気取っている、いけ好かない連中も見に来て下さるギャラリーで展示したいものだが、予算が3倍以上になってしまうので難しいな。

この「なんちゃって高校生」はリサイクルショップで500円で買った期限が何時切れたかさっぱり想像ができないほど風化した四つ切りのフジブロFM3のもの。100シートだったが、案の定、不用意に袋を店員が開けたらしく異常感光していた。しかし、3/4以上は使い物なったのでラッキーだったな。

ちなみに「なんちゃって」は上の方ではなく、下の方にだった。撮影終了後に判明したのだが、現役中学生のポートレイト写真を撮るというのは軽く犯罪的に感じたぜよ、おっさんは。

Photo_3でも、ガンガールズシリーズはそのうち何とかしたいと思っている。ギャラリーを借りるのは無理としてもパブやカフェの壁は借りられるだろう。そういう箱が名古屋にもあるのよ。

もっとも、拙僧の写真を写真家や芸術家気取りの方々に評価して欲しいとも思わないし、変な感想を言われるとイラつくだろう。しかし、自分としても区切りというのはつけたいな。何しろモデルさんのクオリティは大変満足なものであるからな。

柔らかいアウトラインと質感の女子と無機質でマテリアルの質感のガンの組み合わせは面白いと思うのだが。極めて少数の方々にだけ評価していただければいいけど。

ちなみに、このコルトパイソンの女子は期限キレの四つ切りフジブロFM3で焼いている。

Photo_4D3とD3xを使い分けて真面目に画像データを弄るメンバーから「なんで期限キレの印画紙を展示会に使うんですか」と質問があった。彼は高校時代から写真を始め暗室の経験がある。画像データの補正も繊細かつ正確で念入り。彼からするとゴミも焼き込んで、時折プリントに焼いたネガが斜めになっているのも気になるようだ。多分、暗室時代からそういうポリシーであり、現在もであろう。実際に彼の撮影した画像は撮って出しの画像とは明らかに一線を画しており肌色はどのプリントも均一で質感がある。

拙僧などは、このペンタックス6x7にタクマー55mmF2.8で撮影したアクロスで質感を出そうとしちゃうのだが、真逆のアプローチだな。しかし、彼のプリントのいくつかは拙僧から見ても極めて魅力的だった。

この感度のよい女子は四つ切りのフジブロFM3である。

Photo_5それで、どう答えたのかというと「期限が大幅に切れた印画紙はラチュードが狭くなって眠くなるんですよね。なんだけど、感光時間が絶妙に決まるとガンの質感が黒く沈んでモデルさんの肌を抑え気味にディテールを表現するんですよね」と答えたのだ。

D3氏は「意図があるならいいんです」とか「それでも僕はゴミを見てしまいます」とおっしゃった。ゴミに目が吸い付けられてモデルさんの顔に関心が向かないなら、それはゴミのせいではなく拙僧の写真が下手なんですよと軽口を叩いてしまったが、タマにはいいよな。この撮影会のメンバーとはうまくやっていきたいので発言は気を付けているのだ。

勿論、本当の理由は「安く転がっていたから」である。

この写真は六つ切りのバリグレードWPで、期限キレと言っても1~2年ほどだと分かっているので、それなりに容易に調子を出すことができる。

Photo_6実際、どうかというと期限キレがそれほどでもなければ焼くのは楽だし調子の幅も広い。例えば、このフジノン55mmF1.8のプリントはバリグレードWPだが艶のある柔らかい諧調とアウトラインは風化したフジブロFM3では出せないだろう。

しかし、印画紙は高くなった。フィルムについては楽観的だ。しかし、この際、活きのいい印画紙を新品で買おうとしたらバリグレードWPが製造中止になっていたのだ。ビック.comでも在庫限りだったので六つ切りの20シートを2袋買ったが、まだ残っていたら2袋くらい追加注文しようかなあ。

かつては、もっぱら期限キレか期限切迫の安売りしていた印画紙しか使わなかったが、そんなものは既に流通を終えていて新品の印画紙の選択肢も狭くなっている。それでもフジフィルムの印画紙は新品を買うことはできるが、イルフォードの印画紙なんて高くて買うのは不可能だ。フジフィルムも残ったのはフジブロだけなので、今後は単号紙しか使えないことになるな。

Photo_7今回、焼いてみた個人的な感想なのでテクニカルには全く根拠はないのだが、期限の風化した印画紙だと黒が先に沈む気がする。この四つ切りのフジブロFM3で焼いたプリントは明らかに感光不足なのだが、ポートレイト写真としていい感じなので展示した。実際には肌ももう少し焼き込んだプリントも焼いたのだが、ポートレイト写真的にこっちの方がモデルさん映えすると考えたのだ。

100シートの印画紙は使いきって、後は同じようにリサイクルショップで500円で買ったフジブロFM4と期限キレで安く買ったり頂いたりした複数のブランドのキャビネ判の印画紙が200~250枚ほど、L判のフジブロFM3が100枚ほど残っている。これらを使いきったら暗室を作るのも覚悟が必要になるだろうな。

4号の単号紙なんて使い道が限られるのだが、試しにスナップ写真でもプリントしてみようかなあ。拙僧のブログやコンテンツの主題である「レンズの描写で蘊蓄をたれる」という素材としては使いづらいけど。それにしてもテスト焼き用の印画紙の大きさも小さくなるだろうし、それだってシリアスに扱うことになるだろう。

それでも、フジフィルムが現在の価格帯で印画紙を供給し続けてくれるのを祈るばかりなのだが。

本ブログはフィルム写真が無くなったら存在が難しいかなあ。

文章は同じなのだが、大きな画像を用意したコンテンツもご覧いただきたい。

本年もありがとうございました。

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