2016年5月11日 (水)

キヤノン オートボーイWT28

1525255_img日本人の海外旅行のムーブメントがいつ始まったのか分からないが、拙僧の認識では1980年代半ばから後半あたりから「普通の一般人」の海外旅行が現実化したと思う。勿論、これは都市圏の話で貧しいイルクーツクでは90年代後半になっても海外へ行った話をすると「お土産は?」と右手を出したものだ。これは貧しいと言うよりも知的センスの問題なのかもしれない。それはともかく、カメラメーカーとしても海外旅行に向いたカメラの供給を真剣に考えたようだ。

Image32そこで海外旅行で必要なオプションは何かというと、当時のカメラメーカーはクレバーでコンパクトカメラに広角28mmのレンズの搭載を選択した。それまでのコンパクトカメラは大抵35mmとか38mmとか準広角レンズと言っていい焦点距離だったのだ。なんたってトラファルガー広場にしろ万里の長城にしろ、エッフェル塔にしろ広角でないと入りきらない。

本カメラが初めて28mmレンズを搭載したカメラなのかはよく分からないのだが、極めて初期に登場したカメラなのは間違いないだろう。本カメラのネーミングにある「WT」は「ワイド・テレ」ではなく、「ワールドトラベラー」を意味する。当時のキヤノンは28mmだけでは物足りないと思って二焦点レンズにして48mm側も搭載した。翌年にはぐっとスリムでモダンなフジフィルムのカルディアトラベルミニが登場するのだが、やはり二焦点レンズだった。ズームレンズを搭載するコンパクトカメラは既に存在したが、かなり大きく重くなったので28mmをカバしたズームレンズの搭載は難しかったのだろう。実際、コンパクトカメラの衰退期に至っても28mmをカバーするズームレンズを搭載したコンパクトカメラは稀だった。

世界が一転し、デジカメ大戦がはじまって海外旅行を売りにした「きみまろズーム」のルミックスDMC-TZ1は35~280mmF2.8~4.3の光学10倍ズームレンズを搭載していた。当時、既に28mmから始まるズームレンズを搭載したカメラは珍しく無かったけど、広角よりも望遠を重視した。恐らく、ターゲットとなる婦人層は韓流アイドルを遠くから見るよりも、ぐっとアップに撮りたかったのだろう。勿論、DMC-TZシリーズも速やかに28mmをカバーするようになる。

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2014年9月17日 (水)

ニコン ズームニッコール 35~70mmF3.5~4.8

Dscn0325ニコンの現行フィルムカメラはF6とFM10のみと聞く。F6の方はよくわからないけど、多分、FM10には本レンズが保続しているのではないだろうか。そういう意味で、ニコンのフィルムMF一眼レフカメラの最後の砦を支えるのが本レンズなのだ。

Image39 真面目に紹介したコンテンツは殆どない。あっても他のコンテンツや雑誌などのメディア媒体での評価を鵜呑みにして嘆いているモノばかりだ。中には本レンズの機動性やデリカシーのある描写を活かして、美しい写真を掲載するかたもいらっしゃる。
本レンズの評価が低くなるの原因になるとしたら、諧調のノリが薄く立体感の押しが弱い点だろうか。しかし、本レンズのディテールは繊細なモノの決して立体感が無い訳ではない。確かに絵力の強い描写ではないが、デリケートなラインで描く被写体は安ズームレンズだからダメだという物ではない。数倍もする有名ブランドのズームレンズでコストパフォーマンス的にダメなレンズはいくらでもあるだろう。ライター連中を真に受けて、デジ画像らしいエッジの効いたシャープネスや抜けのいい高コントラスト(拙僧の嫌いな語彙だ)だけが写真の価値だと思う方は、個人のパーソナリティを捨てて、お偉いセンセイやメディアのコピー人間になるのも良かろう。そういう方には本レンズは用の無いものである。

Image91 しかし、写真表現や撮影の楽しさは別に雑誌や写真教室の御手順通りに撮影してヨドバシカメラのカレンダーと同じ写真を撮ることではない。そういう、自己のパーソナリティを持ちプライオリティをモチベーションとして撮影の醍醐味に挑むとしたら、本レンズは入門書として福音である。

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