2018年4月21日 (土)

さらばフジフィルムのネオパン、フジブロ

Dscn6059周知の事だがフジフィルムがモノクロ事業から撤退することに決まった。既にネオパン=アクロスの製造は中止となっており、公表では10月までの発売だというが実際の終了はもっと速いだろう。印画紙の供給は2020年までというが、これも足が速ければどうなるか分からない。これで国産の感材はオリエンタルくらいになるが、ちょっとフジフィルムの設備を買えというのは酷だろう。絶好調時のキタムラだったら譲渡という可能性がちょっとはあったと思うのだが、今となってはなあ。安倍政権の憲法改憲の如し。

Dscn4094_2今更ながらビック.comを眺めたらコダックや複数のヨーロッパ製フィルムが安くなっていたりして、案外、アクロスが無くなっても息を吸うことはできるかなとフィルムの面では思った。しかし、困ったのは印画紙である。薬剤はイルフォードの濃縮液や勿論D-76で問題ない。多少割高だとしてもフジフィルムだってありえたことだ。しかし、印画紙は別だ。もう、あちこちで書いたんだけどイルフォードの印画紙なんて高くて買えませんよ。

Photo拙僧のような期限キレの印画紙を探すような客にもなら無いモノが言っても価値がないのだが、無くなるのはとても困る。つい先日、バリグレードも無くなってしまったので嫌な予感はあったものの、単号紙でハッピーな世の中なんて成立するわけはないよな。

Photo_2去年の合同展示会でも四つ切りは全てリサイクルショップで拾った期限も風化した500円で買った100シートのフジブロFM3だった。フジフィルムからしたら迷惑な話である。それはそれで、いい感じの絵が出るのだから、やっぱりフジフィルムのノウハウは惜しいなあ。

Photo_3拙僧がプアな頭を持ちながらもレンズに蘊蓄を傾ける根拠となっているのは実際に印画紙に焼くからだ。レンズのパーソナリティーというのは何かしらの曲線なんて拙僧には全く理解できないし興味もないが、印画紙をフィルム1本30枚も焼けば感じることができる。これは誰でも感じることができるだろう。なので、拙僧が撮影時に頭によぎっているのは「完成時には印画紙に焼く」というモチベーションだ。実際には1%も印画紙に焼くネガなんて無いのだが、そこはモチベーションの問題である。

Dscn6129今のところ、方々の方々から頂いた印画紙も残っている。しかし、六つ切りや四つ切りの印画紙は限定的で、無くなってしまう前に焼きたいネガはさっさと焼いた方がイイのではと思っている。いや、思っているだけでは何の足しにもならなくて行動あるのみだ。兎に角、フジブロが枯渇する前にガンガールズくらいは焼かないとな。

Photo_4フィルムの方は複数のセラーが頑張って輸入販売してくれているようだが、印画紙や薬剤となると限定的だ。拙僧も印画紙の個人輸入を検討したが紙は嵩張って重くなるので送料を鑑みると安くならない。ここは長巻フィルムやパトローネとは異なるところだな。

とにかく、できることは目の前にあるネガを焼くことだ。幸いGWに妻がソウルに5日間くらい遊びに行くので集中的に焼くつもりだ。

| | コメント (8) | トラックバック (0)

2018年3月31日 (土)

ニコン AiSニッコール50mmF1.8(水着ポートレイト編)

Emどうやら大陸でのフィルムカメラのムーブメントは一巡したらしく、ネットオークションの動きも緩慢になった。もともと、既にペトリ2.8などというカメラは売れないのだから不良債権化は致し方ないな。それにしても、一時期は完全に価値がゴミであったカメラがいい値段で旅立って行ったので、ヤードにはまだ400個くらいのカメラやレンズが残っているのだが、ひとまず「遊んで楽しんだ」というのを換算すればプラスマイナス0くらいに大粛清の嵐は効果を得た。残りはボチボチと売れていけばいいだろう。

I4凄惨な大粛清だったが、それでも一応フィルムを通すことはできた。1本のフィルムを2台に分けるような撮影だったが、それでも満足だ。

カメラを処分するのに比べると抵抗があるのがやはりレンズだ。同じペンタックスのスーパータクマー55mmF1.8だって厳密には個体差で写りが微妙に違う。それに、拙僧の持っている物件はツアイスでもなければロクな価格がつかない。ならばとって置きたいというのが心情だ。

I15拙僧は科学的なレンズの検証は全く興味が無いのだが、それなりに蘊蓄は傾けたい欲求がある。個人的にはデジカメにフィルム時代のレンズをつけたレポートには関心がない。拙僧も一応、蘊蓄を傾けてイイなと思っているのは何十枚もの印画紙に焼いた経験があるからだ。その中でも標準器となる水のようなレンズが本レンズである。

本レンズは拙僧が初めてか2番目に買ったレンズである。本レンズかコシナ20mmF3.8かどちらが前後したのかは忘れてしまった。当時のフジヤカメラで1~1.2万円くらいだったと思う。本レンズも香港や海南島、シアトルに連れてっており、印画紙にも何枚も焼いた。非常にプルーフ的な素直なレンズで拙僧のレンズの評価の基準となっている。
今回、拙僧が20代に頃に初めてポートレイト撮影を行い、それが水着ポートレイトだった写真のプリントを読み込んだものが見つかった。

ご覧いただければ幸いである。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2018年2月 3日 (土)

レトロパン320ソフトでポートレイト

Image296今回の写真というかネガはいずれ「ガンガールズ」シリーズでも展示する予定なのをご了承いただきたい。

前々からフォマのレトロパン320ソフトというフィルムに興味があって、何かを買ったついでに1本買ったのだ。しかし、現像液を選びそうだし、現像もナーバスなようで使うのを先延ばしにしていた。それを先日のクリティカルなポートレイト撮影で投入したのだ。

Image326
結果的には「ソフト」という命名とはかけ離れたハードボイルドなフィルムである。荒々しい粒子と硬調が昭和感たっぷりだ。拙僧がこれを「国府宮はだか祭」のスナップを撮ったのなら小躍りしただろう。

しかし、被写体は柔らかいモデルさんなのだ。表現としては非常に面白いのだが肝心なのはモデルさんの評価なのだ。要するに「綺麗で可愛く」写っていればよい。

この暴れ馬のようなフィルムをそれなりにポートレイト写真として観れるのは、モデルさんのクオリティが高いからだとしか思えないな。ヤシノン5cmF2のパフォーマンスでもなければ、決して拙僧の腕前ではない。

コンテンツもご覧いただきたい。

| | コメント (16) | トラックバック (0)

2017年12月30日 (土)

フジブロFM3とバリグレードWP

Photo今年もお付き合い頂き、ありがとうございました(mm。

今年のビッとしたことは、かなり過日になるのだがポートレイト撮影会の合同写真展に展示したのだ。

予算の都合上、「古アパートを改装したクラフトワーク共同工房兼販売所」みたいなところで展示をしたので、来場者は少なかった。というか、そもそも建屋の来場者が少なかった。前に人がすれ違うのも困難なほど人が入っていたことがあったのだが、あれは有名なテナントが一時的に入っていたのだろうか。

今回の話は印画紙が主題なので添付画像に注釈を入れさせていただきたい。

これは六つ切りのバリグレードWPを3号で焼いたものである。もう少し焼き込んだほうが好みなのだが、モデルさんの視点からすると、この塩梅がいい気がしたのだ。

Photo_2そうはいってもプリントを展示するのは良い気分だし、モデルさんも数人いらしてくれて開催して良かったと思う。できれば写真家や芸術家を気取っている、いけ好かない連中も見に来て下さるギャラリーで展示したいものだが、予算が3倍以上になってしまうので難しいな。

この「なんちゃって高校生」はリサイクルショップで500円で買った期限が何時切れたかさっぱり想像ができないほど風化した四つ切りのフジブロFM3のもの。100シートだったが、案の定、不用意に袋を店員が開けたらしく異常感光していた。しかし、3/4以上は使い物なったのでラッキーだったな。

ちなみに「なんちゃって」は上の方ではなく、下の方にだった。撮影終了後に判明したのだが、現役中学生のポートレイト写真を撮るというのは軽く犯罪的に感じたぜよ、おっさんは。

Photo_3でも、ガンガールズシリーズはそのうち何とかしたいと思っている。ギャラリーを借りるのは無理としてもパブやカフェの壁は借りられるだろう。そういう箱が名古屋にもあるのよ。

もっとも、拙僧の写真を写真家や芸術家気取りの方々に評価して欲しいとも思わないし、変な感想を言われるとイラつくだろう。しかし、自分としても区切りというのはつけたいな。何しろモデルさんのクオリティは大変満足なものであるからな。

柔らかいアウトラインと質感の女子と無機質でマテリアルの質感のガンの組み合わせは面白いと思うのだが。極めて少数の方々にだけ評価していただければいいけど。

ちなみに、このコルトパイソンの女子は期限キレの四つ切りフジブロFM3で焼いている。

Photo_4D3とD3xを使い分けて真面目に画像データを弄るメンバーから「なんで期限キレの印画紙を展示会に使うんですか」と質問があった。彼は高校時代から写真を始め暗室の経験がある。画像データの補正も繊細かつ正確で念入り。彼からするとゴミも焼き込んで、時折プリントに焼いたネガが斜めになっているのも気になるようだ。多分、暗室時代からそういうポリシーであり、現在もであろう。実際に彼の撮影した画像は撮って出しの画像とは明らかに一線を画しており肌色はどのプリントも均一で質感がある。

拙僧などは、このペンタックス6x7にタクマー55mmF2.8で撮影したアクロスで質感を出そうとしちゃうのだが、真逆のアプローチだな。しかし、彼のプリントのいくつかは拙僧から見ても極めて魅力的だった。

この感度のよい女子は四つ切りのフジブロFM3である。

Photo_5それで、どう答えたのかというと「期限が大幅に切れた印画紙はラチュードが狭くなって眠くなるんですよね。なんだけど、感光時間が絶妙に決まるとガンの質感が黒く沈んでモデルさんの肌を抑え気味にディテールを表現するんですよね」と答えたのだ。

D3氏は「意図があるならいいんです」とか「それでも僕はゴミを見てしまいます」とおっしゃった。ゴミに目が吸い付けられてモデルさんの顔に関心が向かないなら、それはゴミのせいではなく拙僧の写真が下手なんですよと軽口を叩いてしまったが、タマにはいいよな。この撮影会のメンバーとはうまくやっていきたいので発言は気を付けているのだ。

勿論、本当の理由は「安く転がっていたから」である。

この写真は六つ切りのバリグレードWPで、期限キレと言っても1~2年ほどだと分かっているので、それなりに容易に調子を出すことができる。

Photo_6実際、どうかというと期限キレがそれほどでもなければ焼くのは楽だし調子の幅も広い。例えば、このフジノン55mmF1.8のプリントはバリグレードWPだが艶のある柔らかい諧調とアウトラインは風化したフジブロFM3では出せないだろう。

しかし、印画紙は高くなった。フィルムについては楽観的だ。しかし、この際、活きのいい印画紙を新品で買おうとしたらバリグレードWPが製造中止になっていたのだ。ビック.comでも在庫限りだったので六つ切りの20シートを2袋買ったが、まだ残っていたら2袋くらい追加注文しようかなあ。

かつては、もっぱら期限キレか期限切迫の安売りしていた印画紙しか使わなかったが、そんなものは既に流通を終えていて新品の印画紙の選択肢も狭くなっている。それでもフジフィルムの印画紙は新品を買うことはできるが、イルフォードの印画紙なんて高くて買うのは不可能だ。フジフィルムも残ったのはフジブロだけなので、今後は単号紙しか使えないことになるな。

Photo_7今回、焼いてみた個人的な感想なのでテクニカルには全く根拠はないのだが、期限の風化した印画紙だと黒が先に沈む気がする。この四つ切りのフジブロFM3で焼いたプリントは明らかに感光不足なのだが、ポートレイト写真としていい感じなので展示した。実際には肌ももう少し焼き込んだプリントも焼いたのだが、ポートレイト写真的にこっちの方がモデルさん映えすると考えたのだ。

100シートの印画紙は使いきって、後は同じようにリサイクルショップで500円で買ったフジブロFM4と期限キレで安く買ったり頂いたりした複数のブランドのキャビネ判の印画紙が200~250枚ほど、L判のフジブロFM3が100枚ほど残っている。これらを使いきったら暗室を作るのも覚悟が必要になるだろうな。

4号の単号紙なんて使い道が限られるのだが、試しにスナップ写真でもプリントしてみようかなあ。拙僧のブログやコンテンツの主題である「レンズの描写で蘊蓄をたれる」という素材としては使いづらいけど。それにしてもテスト焼き用の印画紙の大きさも小さくなるだろうし、それだってシリアスに扱うことになるだろう。

それでも、フジフィルムが現在の価格帯で印画紙を供給し続けてくれるのを祈るばかりなのだが。

本ブログはフィルム写真が無くなったら存在が難しいかなあ。

文章は同じなのだが、大きな画像を用意したコンテンツもご覧いただきたい。

本年もありがとうございました。

| | コメント (10) | トラックバック (0)

2017年5月19日 (金)

フジフィルム ミクロファイン

Dscn3994_2 今回もコンテンツを作ることができなかった。全く申し訳ない次第である。
 やはりメインPCのクラッシュが痛い。運よくストレージメディアの画像が復旧したのでロストした画像は少ないのだが、HPのコンテンツデータの最新がサーバ上にあったのだ。困ったことにFFFTPがプアなのか、サーバ上のデータを一気にダウンロードすることができず、数十回に分けてダウンロードすることになった。時間もかかるし、それにかかりっきりになっていたわけではないが1.5日は、かかってしまったな。そのサーバ上のデータとバックアップHDDからサブPC(旧PC)に環境を構築して、その環境を2重にバックアップをとった。
 工場からメインPCが戻ってきてからも大変で、当然ながらデータもアプリケーションもキレイさっぱり消えている。まずはバックアップHDDからデータを転送し、アプリケーションをインストールしてひとまず環境は構築した。そうはいっても、既にサブPCでフィルムのスキャニングなどを行って稼働状態にあるので、すぐさまメインPCへ稼働を移すわけにはいかない。更に困ったのは、以前は動いていた20年前のホームページビルダーが動かなくなってしまった。拙僧は個別のコンテンツはHTML文をテキストエディタで書いているが、アイコンを並べたメニューはホームページビルダーで貼り付けているのだ。そうでなくても、20年前のペイントショップがメインPCで動かないのでフィルムのスキャニングはサブPCで行っていた。この際、Windows7で動いているサブPCをメインPCに昇格したくなるのだが、これはこれで動作が不安定なので悩みどころである。かといって、今更、Windows8.2に対応したホームページビルダーを買うなんて考えられないからな。互換性のあるフリーソフトが無いだろうか。グラフィカルなHPエディタってないのよ。

Dscn3993_2 それで写真関係のモチベーションが下がっているかというとそんなことはない。この3週間ほどで12本のモノクロフィルムを消費したしな。今回は何かとナーバスそうで買った物の敬遠していたミクロファインを使用してみた。
 イキナリ、TMAX400やオリエンタル400をアクロスと同じパターソンにぶち込むのは気が引けたので、アクロスのみを8本処理した。後で気づいたのだが、ミクロファインの処理能力はアクロスで8本だそうだ。危なく無理をするところだったな。勿論、拙僧のいい加減な現像だから、現像時間は18度で12分30秒、20度で10分と書いてあるのだが、押せばいいと思っている。ひとまず、水温が18度まで上がるのを待って処理を開始し、最後の方は20度を超えていた。拙僧のざっくりな時間管理だと14分から16分くらいで処理。ひとまず絵は出ているようなのだが、ちょっと焼き辛いネガになったようだなあ。
Image23 ひとまず、最後に処理したペトリカラー35Eからμ2、SMCペンタックス50mmF2.8マクロと3本をPCにスキャニングしたのだが、やっぱりナーバスのようである。明らかにSMCペンタックス50mmF2.8マクロはカリカリになっている。もっとも、ペトリカラー35Eはそれほどでもないから、やっぱり古くてペトリのような大らかなレンズの方が拙僧の雑な現像に耐えるのかもしれないな。
Image139確かにネガの微粒子感を感じることはできるのだが、調子が硬いというか厚みがないというかデリケートで印画紙に焼くのも苦労しそうだ。とにかく、拙僧にとっては粒子がどうこうよりも雑に扱ってもそれなりに絵が出ることが重要だ。今後はアクロスだろうがTMAX400だろうがSPDかD-76で大体なネガを作るつもりだ。

| | コメント (11) | トラックバック (0)

2017年4月29日 (土)

やっぱりパターソンのタンクだ(ポートレイトモデル撮影)

Dsc_0092拙僧は「カメラのキタムラ」のフォトカルチャークラブの会員である。会員費がかかる有料のサービスだが、感材や現像の代金を割引きしてくれるので、アクロスを「標準的な日本人のビール」くらいのペースで消費している拙僧にとってはありがたい話だ。しかし、若干の不満がある。つまり、フォトカルチャー会員の特典として、撮影会イベントがあるのだが、東京や大阪に比べて名古屋は非活性なのだ。たまに、「スイートフォト教室」みたいなイベントが時たま立が、そんないイベントは遠慮したい。

Dsc_0032ところが、珍しく「スナップ感覚でポートレイト撮影」というイベントが立ったのだ。名古屋某所でモデルさんを気楽に撮影するものらしい。拙僧の師団は沸き上がった。速攻で、申込用紙をFAXで送ったのである。FAXというのがレトロな感じだが、参加者のメンツもレトロな感じなのだろう。無論、メールでの参加も可能だ。

Dsc_0241動員した装備は下記の通り。

デジ大隊:

ニコン D70

AiAFニッコール50mmF1.8

タムロンAF90mmF2.5マクロ(Fマウント)

ライカ判フィルム大隊:

コンタックスRX

コンタックス プラナー50mmF1.4

コンタックス バリオゾナー80~200mmF4

中判フィルム大隊:

ペンタックス645N

SMCペンタックス45mmF2.8

SMCペンタックス80~160mmF4

Dsc_0027わりかし本気な編成である。拙僧がポートレイトを撮影するには重装備という程ではないが、ショップ主催の2時間の撮影としては、これ以上の部隊編成をしても運用は難しいだろう。

募集は6名だったはずなのだが、実際に集まった参加者は拙僧も含めて7名だった。1名を除いて、拙僧に比べて高齢の方々であったな。講師の方による簡単なレクチャーを受けて撮影が始まる。「絞りはなるべく開けて」というレクチャーを受けたので、基本的には「レンズはF8前後に絞る」という交戦規定の拙僧も、たまには開放で使うつもりになったのだ。

Dsc_0230いつもなら積極的にモデルさんに声をかける拙僧だが、今回は控えた。やっぱり、ショップの主催する撮影会だから遠慮したのだ。しかし、同じようなポーズで、皆さんは黙々と撮影しているのだ。段々、ツマラナイというか、折角の撮影なのに損をしている基部になってしまったのだ。拙僧は徐々に大胆になっていく。

「xxxちゃん、折角だからちょっと腕を頭の後ろで組んで、上半身を斜めにして視線を貰っていい?うわ、可愛い!良い良い良い!あごのラインと眉毛のラインが最高!!」

しかし、そんな感じではしゃいでモデルさんに話しかける参加者は皆無だった。皆さん、つまらなく無いのかねえ。熱心に講師にアドバイスを求める若い方がいらっしゃったが。

とにかく、最初は表情の硬かったモデルさんにピースサインをして頂けるほどコミュニケーションは成立した。

モデルさんはプロというよりも、講師の方の専属のモデルさんらしい。こんな感じで、図々しくていいっすか?と講師の方に聞いたら「グットジョブ!」と仰っていたのいいのだろう。

Dscn7598_2デジ画像の方はそんな感じ。肝心なのはフィルム大隊の活躍だ。何せ、先週の中古カメラ市で鹵獲したバリオゾナー80~200mmF4をさっそく動員したからな。

現像を実行したのは27日(木)。朝は寒くて水温が17度に達しなかったのだが、だんだん晴れてきたので日向に現像液のボトルを置いて液温を上げ、現像を始めた。

現像液はSPD。これでアクロスもTMAX400も楽凱SHD100も、同じパターソンにぶち込む。 ところが、今回は120判ネガが多くてパターソンが乾くのが間に合わなくなっちゃった。現像したのはポートレイ撮影のネガばかりではない。拙僧はケチなのでネガは撮り貯めて一気に処理をして現像液を使い回すのだ。そこで、初めてキングの3リールタンクを使ったのよ。

といっても、パターソンのつもりで120判のスプールを2本装填。 なんだか、それがイレギュラーな使い方だったのか、凄く使い辛い。ライカ判リール3本だったらもっとだろう。それに、現像液の使用量がパターソンの3本タンクよりもかなり多くて、現像液の投入量が足りなく。肝心のネガ不完全になってしまった。毎度のことながら不運にも、パーになったのは気合のペンタックス645用45mmF2.8の女子ポートレイト。折角、前回の女子ポートレイト撮影で使ったマミヤM645ようセコール45mmF2.8と比べたかったのに。

悪いのはあっしだが、2度と、このタンクは使わん。

Dscn7599それで出来上がったのが、この不完全なネガ。 不幸中の幸いなのは、撮影初めの頃なので、モデルさんも素の立ちポーズが多く、足をトリミングすれば見れなくもないか。

現在、ネガは乾燥中で、意外と早くバリオゾナー80~200mmF4の報告ができるかもしれない。

講師の方は7月に水族館と夜景の綺麗な湾岸でLEDライトを使った夜間ポートレイトを構想しているらしい。流石にフィルムカメラは動員できないが、意外と楽しいフランクな撮影会だったので、是非、実現して頂きたいものだ。

もっとも、拙僧が一方的にフランクだった可能性が高いな。

| | コメント (8) | トラックバック (0)

2017年3月15日 (水)

フジフィルム バリグレードWP

1480783069_77フジフィルムの多階調印画紙であるバリグレードWPの生産が終了してしまったらしい。現にキタムタネットでもビック.comでも姿を消している。時、既に遅しだ。

10年前に想像していたよりも感材環境は楽観的である。モノクロフィルムに限れば選択肢も豊富だし、薬剤も高くはなったが致命的なほどではない。しかし、印画紙だけは高くなった。イルフォードの印画紙を買うなんて、事実上、不可能だ。なのでフジフィルムが最後の砦なのだが、難しい局面のようだ。

少なくても単号紙はの残るようだが、楽観的ではない。

Dscn0235今のところ、3本パックのアクロスがキタムラネット価格で1500円台である。ぎりぎり気さくに使える範囲だ。しかし、アクロスとSPDが無くなったら、流石の節操もフィルム趣味は考えどころになるだろう。手持ちのカメラやレンズを全て使ってみるのは不可能だな。

フジフィルムにはメディカル・コスメで十分に儲けていただいて、感材供給という慈善事業を継続して頂きたいものだ。

| | コメント (8) | トラックバック (0)

2017年2月15日 (水)

TMAXデベロッパーに初挑戦

Dscn6520プレスト400亡き後、代替品となるISO400フィルムを見つけるのは困難だった。スナップならフォマパン400でもケントメ400でも構わなかったのだが、粒状性や諧調表現が女性モデルポートレイト写真となると満足でなかったのだ。ISO100フィルムなら迷わずアクロスが使える。しかし、条件が必ずしもアクロスに適するとは限らない。そんな時にはISO400フィルムが必要なのだ。無論、TMAX400やイルフォードなら満足な結果を得られるのは承知していたが、いかんせん高い。TMAX400がプロパー価格で1本1000円程度。これは、かなり躊躇する価格帯だ。

Image25だが、結局、TMAX400しか選択肢は無いと結論付けた。イルフォードは全く手が出ないし、TMAX400ならキタムラネット会員で僅かながら安く買えるからだ。ところが、いつの間にか「かわうそ商店」さんがTMAX400を3本で2520円で売っているのを発見した。これなら1本850円くらい。オリエンタル400と同じくらいの価格帯だ。勿論、気さくに使える程に安いわけではないが、購入や使用のハードルはかなり下がった。

Image3しかし、現像はD-76で行っていた。場合によってはSPDによる現像も躊躇しなかった。理由は拙僧がケチでやっつけ仕事だからである。TMAXはTMAXデベロッパーを使わないと意味がないと言われていたが、拙僧には高額で扱いづらい現像液という印象があったのだ。しかし、TMAX400が3本で2520円なら主力をTMAX400にして、店頭購入が楽で荒っぽい現像に耐えてほしい時にはオリエンタル400を使い分ける運用が現実化した。そうなると、折角だからTMAXデベロッパーを使ってみようかと思ったのだ。そして、ビック.comの注文・入金から数日も経たずにTMAXデベロッパーは届いた。

Image35_2まず、原液を溶き始めてから出来上がりが3.8Lなのに気づいた。最初によく箱を読めって話だよな。慌ててボトルを追加したのだが、結局、原液は3.2Lくらいになってしまった。しかし、原液を希釈して使うと聞いていたので、希釈の段階で調整すればよいと気さくに考えていた。そう、拙僧はTMAXデベロッパーは原液を4倍に希釈して使うと認識していたのだ。なので、その時は「なんてリーズナブルな現像液なんだろう」と思ったのだ。
しかし、実際に4倍に希釈した現像液でペトリ7で撮影した楽凱ラッキーパンSHD100を処理すると、かなりアンダーだった。まるで適切な現像液を4倍に薄めたかのようだった。いや、それはイイ加減なラッキーパンSHD100だからかもしれない。実際のTMAX400なら結果は違うのではないかと思ったのだ。
手元にあったTMAX400のネガは3本。同じ日に同じMDロッコール50mmF1.7で撮影したものだ。絶対に失敗したくないネガは、例の拳銃女子のガンガールズのネガだ。しかし、パトローネにはレンズ名しか書いていない。失敗の可能性は高い。そして、絶対失敗したくないネガを選んでしまうのは1/3の確立だ。ちょっとした、ロシアンルーレットである。
それで、ちゃんとロシアンルーレットに負けましたよ。泣きたいよ本当に。

Image36ネガは、完全に「適正な現像液を4倍にしたくらいの薄さ」だったのだ。なんなんだよ。拙僧ってバカ?いや、そんなことは分かっているんだけど、どのコンテンツのデータを読んでも4倍に希釈って書いてあるはじゃない。いや、拙僧が何かしらの勘違いをしたのが悪い。それは分かるんだけど、よりによってガンガールズのネガをダメにしてしまうとはねえ。トホホ。 それで、希釈をやめて原液(なの?)でアクロスをテスト現像したら満更でも無かったので、それ以降の現像を続けた。無論、拙僧はケチだから同じ現像液で8本のネガを現像したが、それなりに絵は出てきた。何となくスッキリしない感じはあるのだが、TMAX400をTMAXデベロッパーで現像すると定着後の水洗が難しらしい。それなりに長い時間をかけて水洗したのだが、仕方ないな。

Image10それでも、パソコンというのはありがたいモノで、スキャナーでPCに読み込むとそれなりに鑑賞できる画像になったのは幸いだ。満足とは言わないが、完全にパーになるよりはましだ。それにしても気になるのが、ゴミの付着とネガのダメージ、それに虹色の楕円だ。ゴミの付着に無頓着な拙僧からしても、なんだかゴミの付着が多い気がする。また、ネガのダメージや虹色の楕円が写りこむのが気になる。ネガ自体を確認するとダメージは無いのだ。この「虹色の楕円」の正確な名前は忘れたが、この現象を抑えるためにフラットヘッドスキャナーのネガキャリアは存在し、場合によってはガラスの板でネガを挟むのだ。要するに、ネガのカーリングが酷くて、何かしらの悪影響をスキャニングに及ぼしているのだろう。ネガが印画に耐えられないのは確実なので、これで満足するしかないな。

感材の高額化や選択肢の縮小も確かに困る。実際にはモノクロネガフィルムは思ったほど選択肢は少なくないのだが、キタムラで買いたいとか価格とパフォーマンスのバランスからして、個人的な選択肢が少なくなっているのだけど。

そういうのは、致命的なモチベーションへの打撃にはならないのだが、撮影時に現れないカメラの故障と、フィルム現像時の失敗は本当に凹むなあ。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2017年2月11日 (土)

ゲッコーMR3(15年近く期限の切れたモノ)

Dscn6129今更、言うまでもないがフィルムカメラの運用は厳しくなる一方だ。別にカメラやレンズの価格は問題ない。一時期、大陸から爆買いによって高騰したレンズも有るが、多くのレンズは適切な価格帯で売っている。一時期、捨て値に近かった頃に比べると大分高くなったが、どちらかといえば常識的な価格帯に戻ったと言えるだろう。ミラーレス一眼のアダプターブームで高くなったレンズも、最近では落ち着きを取り戻したように思える。

Image5問題は感材で、これは確実に高くなってしまった。最早、ポジフィルムやイルフォードのフィルムは拙僧の手が届くものではなくなった。その他のフィルムも一様に高くなった。それでも、フジフィルムのアクロスだけは3本セットで1500円代なので救いの手だ。拙僧はキタムラ会員なのでネット注文すると1500円をわずかに切る。

Image4一方で、オリエンタルのモノクロフィルムの発売など、明るいニュースもないわけではない。1本1000円で諦めていたTMAX400も3本で2520円で売るセラー(かわうそ商店さん)も現れて、ギリギリ運用に耐えている。ISO400フィルムはプレスト400の消滅以降、代替品が見つからずいろいろと試したのだが、ポートレイト撮影で満足なパフォーマンスを発揮するのはTMAX400だけだった。条件が良ければ迷わずアクロスなのだが、条件が不安定な時にはTMAX400しか選択肢は無い。

Image2フィルム代を捻出するのも大変なのだが、もっと大変なのは印画紙だ。これこそ、最早、イルフォードなど手が出ない。ヨドバシカメラで最も安い六つ切り印画紙がイルフォードのクールトーンだったのが幻のようだ。

数年前なら期限キレの印画紙が中古カメラ市で安売りしていることもあったが、今は絶望的である。今のところフジフィルムのバリグレードとフジブロのストックがあるが、いずれも期限切迫か期限キレだ。期限キレなのは全く気にならないのだが、ストックが切れれば同じことだ。一時期まではネットオークションも期待できたのだが、それも今は期待できず、逆に高騰しているという話も聞く。そんな中、大量の印画紙を譲って下さる方が現れたのだ。ありがたいなあ。

Image3_2ブツは期限キレして15年以上経過したものなのだが、そんなことは全く問題にならないな。実際に焼いてみると、ちゃんと絵が出た。印画紙の期限が切れているからモデルさんの魅力が損なわれたとは全く考えられない。勿論、期限の十分な印画紙と比べれば違いはあるだろうが、何も言わずに鑑賞して印画紙の期限キレを指摘する方はまず、いらっしゃらないろう。勿論、数千枚の印画紙を見たプロの写真家やプリンターの方が見れば一目瞭然だろうが、そういう方が拙僧の写真を見ることは無いだろうしな。

ただ、不思議な光線漏れが写りこむことがある。これは、拙僧がビールを飲みながらプリントをしているので缶に反射した光でも異常感光したのかと思ったのだが、どうも、そうではないようだ。

今、プリントしているのは、今年に予定している合同写真展に備えてのテストプリントなので問題にしないことにしている。ひとまず霊的な原因にすることにした。

Image6
また、稀に、このような紫かぶりをすることがある。これは、印画紙の期限キレとは全く関係なく、拙僧がプリントを始めた時からあった。拙僧は日本カメラの「暗室入門」だけを頼りに手探りでプリントをしているから、原因が分からない。ご存知の方は教えて頂きたい。

Image1それにしてもプリント作業は楽しいものだ。

拙僧のような稚拙な者が、ひとまずレンズを語る自信があるのも、実際に数百枚の印画紙を焼いて、レンズによって描写の違いを実感しているからだ。

しかし、先日は6時間も暗室に籠り疲労困憊した。何故かというと、徐々にプリントのシャドウが出なくなってきたのだ。

最初は女性の肌が白くなるのは大した問題ではないと気にしなかったのだが、写真として成立しなくなるほどになってしまった。どうも、拙僧の暗室は納戸を兼ねた簡素なもので、当然空調などない。この季節は上はダウンベストを羽織り、下は防寒パンツを重ね着して、靴下も二重にするのだ。どうも、現像液の液温が下がると急激に絵が出なくなるらしい。

拙僧は理屈は分からないし、液温を上げる手段も無いから感光時間を調節するのだ。感光時間を長くするとひとまず絵が出る。そうやって調整しているうちに、引き延ばしレンズの絞りがF11で感光時間が12秒が適切だったのが、絞りがF8で感光時間が32~36秒にまでなってしまった。その調整に時間がかかってしまったのである。

本当に空調の効いた暗室が欲しいが、とにかく、惜しまずに焼ける印画紙があるだけでもありがたい話だ。

| | コメント (13) | トラックバック (0)

2017年1月21日 (土)

スーパータクマー55mmF1.8

Dscn4843もう、20年近く前から「ライカ判のモノクロフィルムで女子ポートレイト撮影ならSMCタクマー55mmF1.8が最高」と方々で言っていた。実際には当時は拙僧の師団も実態は大隊程度のモノで、編成もブロニカS2を主軸とし、ニッコールやコシナとタクマーを数本。それにソビエトレンズのユピチェリ(ジュピター)9と旧マミヤ6くらいだった。

でも、本来はそんな装備で十分な気がするな。

そんな中でも、SMCタクマー55mmF1.8と比較したかったのがEBCフジノン55mmF1.8だった。

Image36そんなことを思いながらもレンズを手に入れてからも実現には至らなかった。それが実現できた話は既に報告させて頂いている。実際に動員したのはスーパータクマー55mmF1.8だし、EBCのつかないフジノン55mmF1.8なのだが、拙僧はSMCタクマーとスーパータクマーを使い分けていない。

今回は友人から頂いた期限が切れて15年は経過したゲッコーFM2で焼いている。期限キレが全く影響がないかと言うと、そんなことは無いだろうが、鑑賞に十分なプリントを得られた。ただ、普段はもっぱら2号の印画紙を使っているので、拙僧の惚れていてるタクマーのなだらかで繊細な諧調が上手く表現できたといいきれないな。これは期限キレの印画紙のせいではなく、拙僧の未熟とやっつけ仕事という姿勢が影響しているのだろう。

いずれにしろ、レンズを語るには印画紙に焼いてみないと分からないなと痛感した。

既にスーパータクマー55mmF1.8は紹介しているのだが、改めてコンテンツに印画紙に焼いたプリントをスキャナーで読み込んだ画像を添付したページを追加したので、コンテンツもご覧いただきたい。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧